研究課題/領域番号 |
19H03648
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628)
|
研究分担者 |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | メカニカルストレス / 心不全 / マクロファージ / 線維芽細胞 / 心筋細胞 |
研究実績の概要 |
心不全患者はパンデミックと捉えられるほど急増している。特に心臓組織のリモデリング(組織構築の改変や線維化)を基盤として進行する高齢者の心不全には、従来の薬剤が無効であり、新たな観点からの心不全分子機序の解明と治療法の開発は喫緊の課題である。我々は、メカニカルストレスとエイジングへの応答機構が様々なレベルで連鎖・連結していることを見いだした。このようなメカニカルストレスとエイジング応答のクロストークと拡大による心機能障害を「メカノエイジング」と捉え、新しい心不全発症機序を明らかにすることを目的として研究を進めた。メカノエイジングシグナルに応答するエピゲノム制御機序について、マウス横行大動脈結紮による心臓圧負荷における、心筋細胞、心臓マクロファージ、線維芽細胞におけるRNA-seqによるトランスクリプトーム解析、ATAC-seqによるオープンクロマチン解析に続き、シングルセルRNA-seq解析を行った。また、少量サンプルでのヒストン修飾を解析するためのCUT&RUN法によるマクロファージの解析手法を確立した。これらの解析により、マクロファージサブポピュレーションにおける圧負荷に対するエピジェネティックな応答の解析を進めた。シングルセルRNA-seq解析では、圧負荷によるマクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞、心筋細胞間の相互作用変化を解析し、圧負荷の応答に重要と考えられるリガンド受容体候補を同定した。また、マクロファージにおけるメカノセンサーの機能をin vitro、in vivoで解析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バルクならびにシングルセルレベルでのエピゲノム解析を進めるとともに、マクロファージのメカノセンサーの機能解析も予定通り進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
「メカノエイジング」による新しい心不全発症機序を明らかにすることを目的として、引き続きメカニカルストレスとエイジングシグナルの交叉点でありメカノエイジングを駆動するエピジェネティックな分子機構と、メカノエイジングの要である組織リモデリングを実行する多細胞間コミュニケーションに着目した解析を進める。加齢による変化の解析結果と統合することにより、メカニカルストレスとエイジングのクロストークについてさらに解析を進める。同定済みのメカノセンサーについては、さらに機能解析を進め、メカノエイジングにおける役割を明らかにする。共培養系を用いた細胞間コミュニケーションの解析を進める。
|