研究課題/領域番号 |
19H03652
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
朝野 仁裕 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60527670)
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研究分担者 |
塚本 蔵 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (80589151)
木岡 秀隆 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70642099)
宮下 洋平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60816312)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心筋症 / ゲノムデータベース構築 / オミックス研究 / 創薬開発 / 新規治療薬開発 |
研究実績の概要 |
開発した遺伝性心筋症ゲノムバリアントデータベース(DB)の機能を強化し、新DBを構築した。本研究の対象とした5つの分子標的対する関連バリアントの再同定を実施した。二年目は、バリアントの機能解析、生理活性評価系構築、心筋症治療法開発を3項目(7細目)について実施し、以下の成果を得た。 項目1.遺伝性心筋症ゲノムバリアントDBの活用と変異がもたらす生理機能変化の検証:1)サルコメア関連遺伝子Aの機能変化アッセイを確立した。新規検出した3種類似変異を検証し治療標的の確定に至った。動物モデルでの検証を実施中である。2)心筋エネルギー産生制御分子Bのバリアント情報更新を行い、動物モデルの機能評価を実施した。3)心筋エネルギー産生制御分子Cのバリアント情報更新を行った。4)機序未解明の心筋症遺伝子Dの疾患モデル動物の機能解析から分子機序機序を解明し、scRNAseq解析を実施し他心筋症へ演繹可能な詳細な分子機序を解明した。5)新規心筋症サルコメア遺伝子Eは疾患モデル動物の表現型抽出とその機能解析に成功し、確定した治療標的について動物モデルで検証中である。 項目2.心筋症バリアントの情報解析の深化と新たな原因変異の同定アルゴリズムの構築:新たにデータベース化された情報を用いて、各バリアントの重み付きの和を個人ごとに計算したスコアを用いて、集団内でのスコアの分布の違いを比較し疾患リスクの探索を開始した。 項目3.共通解析基盤(ゲノム情報解析基盤・変異生理機能評価基盤)の確立:CRISPR/Cas9システムを用い、項目1の2つの遺伝子について、マウス・ラットの遺伝子改変動物実験系統を構築した。生理機能解析、病理解析の確立、治療介入の実施とともに、相互作用蛋白の同定、生体条件下での発現変化を生体モデルや試料を用いて検討し、各種POCの取得を行った。(以上、論文投稿中2報)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
機能未知分子の機序解明2つ、新規心筋症遺伝子同定2つ、それとともに新規治療法開発に3遺伝子の道筋ができ、そのうち二年目は2つ論文を投稿するに至った。その結果、欠失した遺伝子機能を補う治療介入の技術開発に入ることができた。次々STEPの開発を、予定を繰り上げて開始した。 実際には次々年度予定としていた検討項目を開始し、新規機能バリアントの同定追加など、既に行った論文化含めて基礎から臨床応用を目指すことが可能な成果もあげている。
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今後の研究の推進方策 |
上記実績概要に示した6つの細目について以下の方針で研究を推進する。 1)サルコメア関連遺伝子Aは開始した主として新規治療法開発研究を強く推進する。 2)および3)遺伝子BおよびCについては、検出バリアントの分子機序・病原性意義の評価解析を実施する。 4)分子機序未解明の心筋症遺伝子Dについては、明らかとなった心筋症発症の新規機序およびモデル動物の自然歴から、再度ヒト心筋症疾患表現型に戻り、関連マーカーの検討に入る。 5)新規心筋症サルコメア遺伝子Eの病態解析と構築した動物モデルと生理機能アッセイ系を用いて主として新規治療法開発研究によるPOC取得を進める。 6)遺伝性心筋症ゲノムバリアントデータベースを用いて、原因バリアントの同定アルゴリズムの構築とともに、重み付きの和を個人ごとに計算したスコアを用いた情報解析研究を深化させる。
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