研究課題
野生型マウスに大動脈縮窄(TAC)による圧負荷モデルを作成し、心筋におけるサルフィレ土岐信(Sulfiredoxin:SRX)発現の一過性の上昇および慢性期の低下を確認した。また、それに伴い酸化ストレスの指標であるタンパクカルボニル化が増加した。SRXの病態での役割を評価するために、野生型マウスおよびSRXノックアウト(SRX-KO)マウスにTACによる圧負荷モデルを作成し、心筋リモデリング、心不全の評価を行った。SRX-KOマウスでは左室が拡大し、左室壁厚が増加、左室駆出率(LVEF)が低下した。この変化には酸化ストレスの指標であるタンパクカルボニル化の増加を伴っていた。さらに、組織学的に心筋細胞肥大、間質線維化、アポトーシスの増大を伴っており心筋リモデリングの悪化が認められた。。また、細胞死のシグナルであるcleaved caspase 3の増加を認めた。培養心筋細胞においてsiRNAによりSRXをノックダウンすると、SRXが低下することが確認された。この状態では、過酸化水素による酸化ストレス刺激により、O2フラックスアナライザーによる評価でミトコンドリア呼吸能の低下を来していた。さらに、心筋組織においてアポトーシスシグナルであるcleaved caspase 3の増加が増加した。これらの知見からSRXは心不全の進展過程において相対的に低下をきたし、その低下により心筋細胞の酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、アポトーシスを引き起こして心筋リモデリングの発症・進展に関与することが示された。
1: 当初の計画以上に進展している
ノックアウトマウスの解析が順調に進んでいる。
SRX心筋特異的過剰発現マウスを用いて、SRXの心筋リモデリングにおける意義およびその制御機構を解析する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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