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2020 年度 実績報告書

自律神経による心機能制御

研究課題

研究課題/領域番号 19H03657
研究機関横浜市立大学

研究代表者

石川 義弘  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40305470)

研究分担者 梅村 将就  横浜市立大学, 医学部, 講師 (50595353)
中村 隆  横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (30772371)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード交感神経 / cAMP / Epac / 心機能 / 心筋保護
研究実績の概要

交感神経は、副交感神経と協調しながら、自律神経として総体化して心機能制御を担うことが知られている。中でも交感神経は、フランクスターリングメカニズムによる力学的な制御に対応して、交感神経末端から分泌されるカテコラミンにより、心筋細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMP濃度を制御することにより、様々な細胞内小分子の機能制御を担っている。我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交感神経末端から分泌されるカテコラミンにより、心筋細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMP濃度を制御することにより、様々な細胞内小分子の機能制御を担っている。我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。このような研究成果はおおむね順調な進展と考えられる。

今後の研究の推進方策

我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。今後は、関与する分子種にどのような多様性があるのか、また生体レベルでの制御にどのような特性があるのかの検討を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Scaffold-free tissue-engineered arterial grafts derived from human skeletal myoblasts.2021

    • 著者名/発表者名
      Saito J, Yokoyama U, Nakamura T, Kanaya T, Ueno T, Naito Y, Takayama T, Kaneko M, Miyagawa S, Sawa Y, Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      Artif Organs.

      巻: 45 ページ: 919-932

    • DOI

      10.1111/aor.13930.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multilayered human skeletal muscle myoblast sheets promote the healing process after colonic anastomosis in rats.2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Yokoyama U, Kanaya T, UENO T, Yoda T, Ishibe A, Hidaka Y. Umemura M, Takayama T, Kaneko M, Miyagawa S, Sawa Y, Endo I, Ishikawa Y
    • 雑誌名

      Cell Transplantation.

      巻: 30 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1177/09636897211009559.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Increased plasma levels of myosin heavy chain 11 is associated with atherosclerosis.2021

    • 著者名/発表者名
      Takahashi L, Ishigami T, Tomiyama H, Kato Y, Kikuchi H, Tasaki K, Yamashita J, Inoue S, Taguri M, Nagao T, Chikamori T, Ishikawa Y, Yokoyama U.
    • 雑誌名

      J Clin Med.

      巻: 10 ページ: 3155

    • DOI

      10.3390/jcm10143155.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Challenges and Possibilities of Cell-Based Tissue-Engineered Vascular Grafts.2021

    • 著者名/発表者名
      Saito J, Kaneko M, Ishikawa Y, Yokoyama U.
    • 雑誌名

      Cyborg and Bionic Systems.

      巻: 2021 ページ: -

    • DOI

      10.34133/2021/1532103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Emotional Stress Induces Structural Plasticity in Bergmann Glial Cells via an AC5-CPEB3-GluA1 Pathway.2020

    • 著者名/発表者名
      Bender C,Sun X,Farooq M,Yang Q,Davison C,Maroteaux M,Huang Y,Ishikawa Y,Liu S.
    • 雑誌名

      J Neurosci.

      巻: 40 ページ: 3374-3384

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0013-19.2020

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Reactive fibrosis precedes doxorubicin‐induced heart failure through sterile inflammation.2020

    • 著者名/発表者名
      Tanaka R, Umemura M, Narikawa M, Hikichi M, Osawa K, Fujita T, Yokoyama U, Ishigami T, Tamura K, Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      ESC Heart Failure.

      巻: 7 ページ: 588-603

    • DOI

      10.1002/ehf2.12616

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Excessive EP4 Signaling in Smooth Muscle Cells Induces Abdominal Aortic Aneurysm by Amplifying Inflammation.2020

    • 著者名/発表者名
      Hiromi T,Yokoyama U,Kurotaki D,Mamun A,Ishiwata R,Ichikawa Y,Nishihara H,Umemura M,Fujita T,Yasuda S,Minami T,Goda M,Uchida K,Suzuki S,Takeuchi I,Masuda M,Breyer R,Tamura T,Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      Arterioscler Thromb Vasc Biol.

      巻: 40 ページ: 1559-1573

    • DOI

      10.1161/ATVBAHA.120.314297.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fibulin-1 Integrates Subendothelial Extracellular Matrices and Contributes to Anatomical Closure of the Ductus Arteriosus.2020

    • 著者名/発表者名
      Ito S, Yokoyama U, Nakakoji T, Cooley M, Sasaki T, Hatano S, Kato Y, Saito J, Nicho N, Iwasaki S, Umemura M, Fujita T, Masuda M, Asou T, and Ishikawa Y.
    • 雑誌名

      Arterioscler Thromb Vasc Biol.

      巻: 40 ページ: 2212-2226

    • DOI

      10.1161/ATVBAHA.120.314729.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of Tissue-Type Plasminogen Activator in Remodeling of the Ductus Arteriosus.2020

    • 著者名/発表者名
      Saito J,Ishikawa Y,Yokoyama U.
    • 雑誌名

      Circ Rep.

      巻: 2 ページ: 211-217

    • DOI

      10.1253/circrep.CR-20-0015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 心不全と血管モデルの研究開発2020

    • 著者名/発表者名
      石川義弘,中村 隆,小嶋朋之,横山詩子
    • 雑誌名

      循環器内科

      巻: 87 ページ: 495-500

    • 査読あり
  • [学会発表] Sympathetic nervous system and the cardiovascular disease.2021

    • 著者名/発表者名
      石川義弘
    • 学会等名
      第85回日本循環器学会.
  • [学会発表] 心血管の生理応答と病態解明.2021

    • 著者名/発表者名
      梅村将就
    • 学会等名
      第126回日本解剖学会総会・全国学術集会、第98回日本生理学会大会 合同大会
  • [学会発表] 静水圧や温熱などの外部刺激に対する心臓繊維芽細胞の生理応答.2021

    • 著者名/発表者名
      梅村将就
    • 学会等名
      第126回日本解剖学会・第98回日本生理学会合同大会 総会・全国学術集会
  • [学会発表] ドキソルビシンが心臓線維芽細胞へ与える影響と心臓障害の新たなメカニズム.2021

    • 著者名/発表者名
      根本寛子, 梅村将就, 中鍛治里奈,永迫茜,長尾景充,日髙祐子,Md Rafikul Islam,石川聡一郎,水野雄斗,鈴木文菜,鈴木伸一,石川義弘.
    • 学会等名
      生理学研究所研究会.
  • [学会発表] Increased plasma level of myosin heavy chain 11 is associated with atherosclerosis.2020

    • 著者名/発表者名
      Takahashi L,Ishigami T,Tomiyama H,Chikamori T,Ishikawa Y,Yokoyama U.
    • 学会等名
      Asian Pacific Society of Cardiology Congress 2020.
  • [備考] 横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 研究室ホームページ

    • URL

      http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~seiri1/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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