研究課題
交感神経は、副交感神経と協調しながら、自律神経として総体化して心機能制御を担うことが知られている。中でも交感神経は、フランクスターリングメカニズムによる力学的な制御に対応して、交感神経末端から分泌されるカテコラミンにより、心筋細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMP濃度を制御することにより、様々な細胞内小分子の機能制御を担っている。我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。
2: おおむね順調に進展している
交感神経末端から分泌されるカテコラミンにより、心筋細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMP濃度を制御することにより、様々な細胞内小分子の機能制御を担っている。我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。このような研究成果はおおむね順調な進展と考えられる。
我々のこれまでの研究成果から、心筋細胞内にはcAMP産生酵素としてのアデニル酸シクラーゼが存在し、この酵素サブタイプは他の臓器に発現するものに比べて圧倒的に高い酵素活性を持つことが分かってきた。このことは、心機能がcAMPにより制御される度合いが、他の主要な臓器と比較しても大きいということであり、これは臨床的な認識とも一致する。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存性キナーゼであるプロテインキナーゼAを活性化することは古典的に知られている。ところが近年ではこれ以外にEPACと呼ばれる小量体Gたんぱく質の活性制御をする分子が、cAMPにより直接制御されることが分かってきた。我々の研究成果から、Epacは心筋細胞にも高発現することが分かり、このことから心機能制御にも重要な役割を果たすことが分かってきた。とりわけサイト間を中心とした免疫系のシグナルとのクロストークの場所を、Epacが提供していることが明らかになってきた。これは交感神経系と免疫系とのシグナルの交差をしめすメカニズムと考えられる。これまでの報告においても、自律神経活動は身体の免疫能に影響を及ぼすことが提案されており、臨床的にも様々なデータが提供されてきた。我々の研究成果は、分子レベルでそのような交差があることを確認したことに強い意義があると考えられる。これは心筋保護など、心機能維持時も重要なプロセスである。今後は、関与する分子種にどのような多様性があるのか、また生体レベルでの制御にどのような特性があるのかの検討を進めていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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