これまで行ったCRISPRライブラリスクリーニング、ATACシークエンス、RNAシークエンスの結果からこれまでに報告のあるp53と新規に転写因子であるRREB1がミトコンドリア生合成を制御していることを見出した。RREB1の上流に関してはATACシークエンスでRREB1結合領域のアクセシビリティーが亢進しているためエピゲノムの要因が考えられた。下流に関してはATACシークエンスとRNAシークエンスの統合解析からRREB1制御遺伝子を50個程度同定されたが、そのうちミトコンドリア生合成因子として既に知られているエストロゲンレセプターの他、いくつかのミトコンドリア関連遺伝子が同定された。実際にmyoblastのマイトファジー後のミトコンドリア生合成をMitoTrackerで評価する系で各候補因子をノックアウトして評価したところ、エストロゲンレセプターといくつが複合的にRREB1の下流でミトコンドリア生合成に関与していることが分かった。 RREB1の動物モデルでの評価に関してはiGONAD法を用いてRREB1-floxマウスを作製し、Myh6-MerCreMerマウスと掛け合わせて、心筋特異的RREB1ノックアウトマウスで表現型を確認していく。この系とは別にミトコンドリア移行シグナルにオートファゴソームをリクルートするLIR配列を結合したマイトファジーアダプタータンパク質遺伝子のトランスジェニックマウスを作製している。この薬剤誘導マイトファジーマウスとRREB1ノックアウトマウスを掛け合わすことでミトコンドリア生合成不全が表現型としてどのように影響するかを検討する準備も進めている。
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