研究課題
EGFR 変異を有する肺癌は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に奏効するが、治癒することはない。また免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果が乏しいことも、未解決の重要課題である。岡山大学で発見されたREIC遺伝子はがん細胞選択的に免疫原性細胞死を誘導し、同時に局所および全身的な腫瘍免疫の活性化を誘導する作用があることが分かり、腫瘍免疫を活性化する薬剤として臨床開発が進んでいる。EGFR変異を有する進行期肺癌の治癒を目指した革新的な治療の開発に向けて以下の学術的「問い」に至り、今年度はこれらの検証を行った。1) EGFR変異を有する肺癌にはPD-1/PD-L1以外の腫瘍免疫からの逃避機構があるのではないか? 2)他の薬剤の併用によって、抗PD-1抗体の効果を改善することは可能か?3)Ad-SGE-REICはEGFR変異を有する肺癌の免疫原性の向上、腫瘍免疫の活性化をさせるか?4)Ad-SGE-REICと抗PD-1抗体を併用することで革新的な効果の増強が得られないか?現在までのところ、シンジェニックEGFR肺癌マウスモデルを用い、REICの抗腫瘍効果、免疫活性化作用を確認できている。1) Ad-SGE-REICの局所投与(EGFR肺癌へのREIC強制発現)による抗腫瘍効果、腫瘍内へCD8陽性細胞の誘導、2)Ad-SGE-REICと抗PD-1抗体の併用による抗腫瘍効果の増強。(抗PD-1抗体単剤は無効)つまり、EGFR肺癌(腫瘍微小環境にCD8陽性Tリンパ球の浸潤が乏しく、抗PD-1抗体単剤が無効)に対し、REICを発現させることでアポトーシスおよびCD8陽性Tリンパ球の集簇を誘導し、抗PD-1抗体の併用によりその効果が増強したことがわかった。
2: おおむね順調に進展している
現在までのところ、シンジェニックEGFR肺癌マウスモデルを用い、下記を含めREICの抗腫瘍効果、免疫活性化作用を確認できている。1) Ad-SGE-REICの局所投与(EGFR肺癌へのREIC強制発現)による抗腫瘍効果、腫瘍内へCD8陽性細胞の誘導、2)Ad-SGE-REICと抗PD-1抗体の併用による抗腫瘍効果の増強。(抗PD-1抗体単剤は無効)つまり、EGFR肺癌(腫瘍微小環境にCD8陽性Tリンパ球の浸潤が乏しく、抗PD-1抗体単剤が無効)に対し、REICを発現させることでアポトーシスおよびCD8陽性Tリンパ球の集簇を誘導し、抗PD-1抗体の併用によりその効果が増強した。
REICと抗PD-1抗体との併用療法の臨床開発の準備と並行して、さらなる強力な腫瘍免疫活性化させる治療開発を目指し、PD-1、PD-L1以外の免疫チェックポイント分子の探索、またその阻害効果につき検証を行う
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