研究課題
EGFR 変異を有する肺癌は、日本人を含む東アジア人の非喫煙者に発生する肺癌の中で、最も高頻度なタイプである。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が一過性に奏効するが、治療耐性化が必発で残念ながら治癒に至らない。また特に喫煙関連の肺癌の内一定の割合で免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の劇的な効果の恩恵を享受しているが、不合理なことに喫煙との関連が低いEGFR肺癌に対するICIの効果が乏しく、未解決の重要課題である。申請者らは、EGFR変異を有する肺癌の病態を理解するため、免疫能が保持されたC57BL6ベースの遺伝子改変肺癌マウスモデルを樹立し特許を取得している。このマウス肺癌は、ヒト肺癌と同様にEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に奏効するものの治療耐性化し治癒することはない。また抗PD-1抗体の効果が乏しい。岡山大学で発見されたREIC遺伝子はがん細胞選択的に免疫原性細胞死を誘導し、同時に局所および全身的な腫瘍免疫の活性化を誘導する作用があることが分かり、腫瘍免疫を活性化する薬剤として臨床開発が進んでいる。本研究では申請者らが独自に樹立したマウスモデルを用いて, 1. EGFR変異がどのように腫瘍免疫から逃避しているか? 2. REIC製剤はEGFR変異を有する肺癌の免疫原性の向上、腫瘍免疫の活性化を誘導するか? 3. REIC製剤と抗PD-1抗体の併用治療により革新的な抗腫瘍効果が得られるか?の検証を行い、臨床開発へ橋渡しを行う。本年度までに、REIC遺伝子をアデノウィルスベクターに組み込んだAd-SGE-REICがEGFR肺癌をnon-inflamed腫瘍からinflamed腫瘍へ改変し、抗PD-1抗体との併用により抗腫瘍免疫を増強することを確認できた。
2: おおむね順調に進展している
EGFR変異を有する肺癌の病態を理解するため、免疫能が保持されたC57BL6ベースの遺伝子改変肺癌マウスモデルを樹立し特許を取得している。このマウス肺癌は、ヒト肺癌と同様にEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に奏効するが治癒することはない。また抗PD-1抗体の効果が乏しい。岡山大学で発見されたREIC遺伝子はがん細胞選択的に免疫原性細胞死を誘導し、同時に局所および全身的な腫瘍免疫の活性化を誘導する作用があることが分かり、腫瘍免疫を活性化する薬剤として臨床開発が進んでいる。本研究では申請者らが独自に樹立したマウスモデルを用いて, 1. EGFR変異がどのように腫瘍免疫から逃避しているか? 2. REIC製剤はEGFR変異を有する肺癌の免疫原性の向上、腫瘍免疫の活性化を誘導するか? 3. REIC製剤と抗PD-1抗体の併用治療により革新的な抗腫瘍効果が得られるか?の検証を行い、臨床開発へ橋渡しをめざす。本年度までに、1.EGFRによる癌シグナルは腫瘍免疫を抑制的な環境と改変すること2.EGFR阻害によりCD8陽性T細胞依存的な腫瘍免疫が誘導されること3 REIC遺伝子をアデノウィルスベクターに組み込んだAd-SGE-REICによりEGFR肺癌をnon-inflamed腫瘍からinflamed腫瘍へ改変し、抗PD-1抗体との併用により抗腫瘍免疫を増強することを確認できた。
研究結果の精度確認を行い、論文、学会発表を通し成果を発信する。また臨床開発に向けて、企業、PMDAと面談を開始しているが、今後更に臨床開発の方向性を詰めていく予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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