研究実績の概要 |
特異性の異なる45種類のレクチンを用いた尿レクチンアレイ解析を開発した (PLoS ONE 8(10), e77118, 2013)。さらに平成24年度より2型糖尿病患者680例の4年間のコホート研究でベースラインのα2-6シアル酸関連レクチン(SNA)、Galβ1-3GalNAc (T-antigen)関連レクチン (ABA, Jacalin, ACA)、RCA120への結合シグナル高値が4年後のeGFR 30%低下の危険因子であることを報告した(Diabetes Care. 41(8), 1765-1775, 2018)。2021年度はこのコホート研究(Urinary biomarker for Continuous And Rapid progression of diabetic nEphropathy:U-CARE研究)を継続することによりMan5 to Man9を認識するUDA、High-Man (Man2-6)を認識するCalsepaの高値が心血管イベントを予測することを明らかにした(Front Cardiovasc Med 8:668059, 2021)。 この2型糖尿病患者のコホート研究で、尿レクチンアレイ解析による糖鎖の網羅的解析の結果から、尿中レクチン(SNA, ABA, Jacalin, ACA, RCA120)への結合シグナルの上昇が腎機能低下のリスクであることを見出したが、これらのレクチンが認識する糖鎖は糖タンパク質上のT-antigen, Tn-antigen, sialyl-T, sialyl-Tn, Core 3を認識している。いずれもO型糖鎖の合成過程の初期の糖鎖構造である。従ってこれらの糖鎖構造はO型糖鎖生成過程における合成不全糖鎖であり、癌組織において発現する抗原であることも知られている。2021年度はこれらの糖鎖抗原を認識するC型レクチン受容体2種類を同定した。
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