研究課題
9系統の新規強皮症モデルマウスについて、発病初期に注目して様々な細胞のトランスクリプトーム解析を進め、強皮症の病初期に生じている遺伝子の発現様式の変化、およびシグナル伝達経路の異常について検討している。B細胞特異的Fli1欠失マウスと骨髄系細胞特異的Fli1欠失マウスにおいて、強皮症の主要3病態がすべて誘導できることが先行研究において明らかとなっているが、仮説通り、現時点ではB細胞特異的Fli1欠失マウスにおいて病初期にヒトの強皮症に見られる異常が確認できている。脾臓由来B細胞について、経時的にサブセット解析を進めたところ、Fli1を欠失させることにより、特定のB細胞サブセットが顕著に増え、このサブセットにおいてToll-like receptorの発現に大きな変化が生じていることが明らかとなった。このToll-like receptorの発現変化はSSc患者由来B細胞においても生じていることが明らかになっており、SScのB細胞の形質変化においてFli1の発現低下が深く関わっている可能性を改めて確認することができた。また、B細胞特異的Fli1欠失マウスでは4週齢時点において既に自己反応性の形質を示すB細胞サブセットが存在することも明らかとなっている。現在はB細胞特異的Fli1欠失マススと野生型マウスからこのB細胞サブセットを単離し、トランスクリプトーム解析を行い、どのような遺伝子発現様式の変化が生じているのか、解析を進めているところである。また、骨髄系細胞特異的Fli1欠失マウスについても骨髄由来細胞を用いてサブセット解析を進めており、現在データ解析中である。
2: おおむね順調に進展している
本研究の最大の目的は、強皮症の病初期の遺伝子発現様式の変化を同定することだが、B細胞については発病初期にみられるサブセット異常を同定することができている。
B細胞特異的Fli1欠失マウスと野生型マウスから解析対象のB細胞サブセットを単離し、トランスクリプトーム解析を行い、どのような遺伝子発現様式の変化が生じているのか、解析を進める。また、同細胞を用いたChIP sequenceも行う予定としており、転写因子Fli1の発現低下により誘導される遺伝子の発現様式の変化を明らかにする。B細胞特異的Fli1欠失マウスでは自己免疫応答を示すB細胞のサブセットも同定されており、Fli1がどのようにB細胞の自己免疫応答を示すのか、検討を進める予定である。一方、骨髄系細胞特異的Fli1欠失マウスについてはFACSを用いて骨髄細胞のサブセット解析を既に行っている。現在データ解析中であるが、病因的に作用しているサブセットを同定し、その遺伝子発現様式の変化について検討を進める予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件)
Exp Dermatol.
巻: 30 ページ: 409-415
10.1111/exd.14218.
Int J Rheum Dis.
巻: 24 ページ: 260-267
10.1111/1756-185X.14037.
巻: ND ページ: ND
10.1111/exd.14321.
10.1111/exd.14320.
10.1111/1756-185X.14103.
J Dermatol.
10.1111/1346-8138.15893.
J Dermatol Sci.
巻: 97 ページ: 125-134
10.1016/j.jdermsci.2020.01.002.
巻: 47 ページ: 1027-1032
10.1111/1346-8138.15458.
Rheumatology (Oxford).
巻: 59 ページ: 2005-2015
10.1093/rheumatology/kez517.
Arthritis Rheumatol.
巻: 72 ページ: 2136-2146
10.1002/art.41423.