皮膚は、ライフステージに伴い表面積を変化させる。特に妊娠期には、胎児の成長に伴って腹部皮膚が急速に拡張するが、その生体機構は不明である。我々は、妊娠期において表皮幹細胞から高い増殖能を持つ細胞群(Tbx3+基底細胞)が産生されることを報告した。本研究では、Tbx3+基底細胞は血管依存性表皮幹細胞であり、妊娠期には体表血管の増加に依存して出現し、出産後には血管退縮とともに分化して表皮から排出されることを明らかにした。また、皮膚に張力負荷をかけると、非妊娠においても体表血管が増加し、それに依存してTbx3+基底細胞が誘導されたことから、血管と張力が皮膚伸展に重要であることが明らかとなった。
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