研究課題
本研究は、壊死性組織損傷時に骨髄から末梢循環を介して壊死組織周囲に集積する間葉系幹細胞の発生学的起源を探索し、さらに皮膚基底膜接着分子の遺伝的欠損により生直後より全身熱傷様表皮剥離を繰り返す表皮水疱症における剥離表皮再生機序での末梢循環間葉系幹細胞の寄与を解明することを目的としている。研究代表者の玉井は、表皮水疱症の剥離表皮再生メカニズム解明研究を進め、剥離表皮内壊死細胞から放出される核蛋白high mobility group box 1 (HMGB1)の血中濃度上昇を骨髄内間葉系幹細胞が感知して活性化し、その一部が血中へと動員されること、またHMGB1は末梢血間葉系幹細胞(mesenchymal blood cells, MBCs)の表面に壊死組織周囲の血管内皮細胞が放出するケモカインCXCL12の受容体CXCR4の発現を誘導し、その結果MBCはCXCL12/CXCR4相互作用により壊死組織周囲に集積すること、壊死組織周囲に集積したMBCは間葉-上皮転換により表皮ケラチノサイトへと分化することにより、剥離表皮の再生機序を維持していることを明らかにした(PNSA2011、J Immunol 2015)。本研究では、上記研究成果を背景として、遺伝子改変マウスを用いたMBCの系譜追跡によりその発生学的起源を探索するとともに、単一細胞トランスクリプトームおよびエピゲノム解析技術を用いてMBCによる剥離表皮再生機序解明研究を進めている。これまでの研究により、MBCの骨髄内起源細胞を同定するとともに、HMGB1ペプチド投与によって表皮水疱症モデルマウス皮膚にMBCと同様のトランスクリプトームおよびエピゲノムの性質を持つ間葉系細胞が有意に増加すること、これらの細胞は瘢痕抑制性分子を特徴的に発現し、皮膚の線維化を抑制するとともに、表皮幹細胞ニッチ微小環境を再生して表皮幹細胞を活性化し、表皮水疱症マウス皮膚の再生能を高めていることが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 10件)
Lab Invest
巻: Online ahead of print ページ: -
10.1038/s41374-022-00735-5
Cell Mol Gastroenterol Hepatol
巻: 12(2) ページ: 547-566
10.1016/j.jcmgh.2021.04.004
Ann Dermatol
巻: 33(4) ページ: 382-384
10.5021/ad.2021.33.4.382
Inflamm Regen
巻: 41(1) ページ: 28
10.1186/s41232-021-00177-4
Eur J Immunol
巻: 52(2) ページ: 204-221
10.1002/eji.202149479
J Dermatol Sci
巻: 104(3) ページ: 164-176
10.1016/j.jdermsci.2021.11.004