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2020 年度 実績報告書

自己反応性B細胞の単一細胞解析による天疱瘡の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03683
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

山上 淳  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80327618)

研究分担者 高橋 勇人  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40398615)
渡辺 貴志  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (50406815)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード天疱瘡 / 自己反応性B細胞
研究実績の概要

本研究の目的は、天疱瘡の原因となるデスモグレイン(Dsg)に対する特異的なB細胞を患者から単離・クローニングすることにより、自己抗体の構造・自己反応性B細胞の特徴の検討を通じて天疱瘡の病態を解明し、より疾患特異的な治療法の開発につなげることである。
2020年度までに、蛍光抗体で標識した組み換えDsg蛋白を用いることで、天疱瘡患者の末梢血からDsg特異的B細胞を単離することに成功し、シングルセルRNAシーケンスの技術を用いて、その遺伝子発現解析を行った。具体的には、慶應義塾大学病院に通院する天疱瘡患者の末梢血から単核球(PBMC)を分離し、フローサイトメトリーで記憶B細胞の分画からDsg特異的B細胞を単離した。また、コントロールとして非特異的B細胞も同一患者から単離した。1例では治療前と治療後のDsg特異的B細胞を単離することができた。それぞれ単離したB細胞から、SMART-Seq HT kit (Takara)でcDNA増幅し、Nextera XT DNA Library prep kit (illumina)でライブラリー作成し、Novaseq6000 (illumina)でシーケンス解析を行った。3例の天疱瘡患者から、92のDsg特異的B細胞と115の非特異的B細胞のRNAシーケンスデータを得た。検出された10518遺伝子のうち、253が発現変動遺伝子(DEGs)であり、リンパ球の遊走や代謝に関わる経路と関係していた。また治療前後の比較では、B細胞の分化や抗体産生に関わる経路が抑制されており、臨床経過を反映していた。
今後は、さらに多くの症例からデータを集め、自己抗体のレパトア解析と組み合わせることで、自己反応性B細胞の活性化機構の解明が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通り、天疱瘡患者の末梢血リンパ球からDsg特異的B細胞を単一細胞として分離するとともに、シングルセルRNAシーケンスの実験手法が安定した。複数の天疱瘡患者から、Dsg特異的B細胞と非特異的B細胞のRNAシーケンスデータが得られており、研究計画の進捗は概ね順調と考えている。

今後の研究の推進方策

今までの研究で、天疱瘡患者から単一細胞としてDsg特異的B細胞を解析する手法が確立されてきた。その症例数を拡大していきながら、さらに効率を上げて有意義なデータを発信することをめざしていく。シングルセルRNAシーケンスの技術を応用して、より多数の天疱瘡患者におけるDsg特異的B細胞の発現変動遺伝子(DEGs)の検討からパスウェイ解析を進め、その結果を論文としてまとめる。
将来的には、申請者および研究分担者の所属施設を中心に展開されている天疱瘡患者レジストリに登録されている情報と関連させて、検出された自己抗体・自己反応性B細胞クローンと、臨床的な病勢(活動期と寛解期との比較など)や予後因子(治療への反応性など)との関係を検討し、研究成果を患者に還元することをめざす。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Autoimmune bullous skin diseases, pemphigus and pemphigoid.2020

    • 著者名/発表者名
      Shohei Egami, Jun Yamagami, Masayuki Amagai
    • 雑誌名

      Journal of Allergy and Clinical Immunology

      巻: 145 ページ: 1031-1047

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2020.02.013

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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