研究課題
HLA-B*40:02陽性再生不良性貧血(aplastic anemia: AA)患者の特定のT細胞レセプターαβ鎖を利用することにより同定したリガ ンド候補X蛋白が、実際のAAの発症に関与しているか否かを明らかにするため、精製HLA-B4002とXペプチドを用いてテトラマーを作製した。今後は、凍結保存したHLA-B*40:02陽性患者の末梢血単核細胞をこのテトラマーでスクリーニングする予定である。一方、標的抗原がXペプチドだけではない可能性があるため、CRISPR Genome-Wide sgRNA Library Systemを用いた抗原スクリニーングも同時に進めている。一方、HLA-DR15をepigeneticに欠失した造血幹前駆細胞(hematopoietic stem progenitor cell: HSPC)を有するシクロスポリン依存性AA患者をさらに詳細に検討したところ、HLA-DR15欠失は、共存する発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxismal nocturnal hemoglobinuria: PNH)形質のHSPCでは見られないことが明らかになった。また、HLA-DRを欠失したHSPCでは、glycosylphosphatidylinositolアンカー膜蛋白であるCD48やCD86などの共刺激分子の発現も低下していた。したがって、PNH型HSPCの生存優位性には、HLA-DR拘束性にHSPCを認識するCD4陽性T細胞が関与していることが示された。さらに、PNH型HSPCがCD4陽性T細胞の攻撃を免れている要因は、CD48のような共刺激分子の欠失であることが本血球の結果から示唆された。このHLA-DR15が提示する自己抗原を同定するため、6番染色体短腕の片親性2倍体によりHLA-DR15を欠失しているAA患者の単球からiPS細胞を樹立した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Leukemia
巻: in press ページ: -
巻: 36 ページ: 847-855
10.1038/s41375-021-01463-3