研究課題
染色体転座によってMLL遺伝子とパートナー遺伝子が融合し、MLLキメラ遺伝子が形成されることが予後不良の白血病を引き起こす。MLLの融合パートナーは多岐にわたり、これまでに100種類以上が報告されている。しかし、何故MLLキメラはかくも多様なパートナーと融合しながら、白血病という同じ結果を生み出すのか、明らかになっていない。本研究で我々は「多様なMLLキメラは全てAEPとSL1という転写マシナリーを介して転写を活性化することで白血病を引き起こす」という独自に立てた仮説を検証し、MLLキメラによる白血病発症メカニズムを統一的に理解することを目指した。本研究期間において我々はMLL転座白血病はほとんどの場合、AEPとSL1のリクルートを介して白血病を引き起こす事を見出した。そのメカニズムは融合パートナーによって異なっており、AF10やELLという融合パートナーはMLLのTHD2ドメインという構造を介してHBO1ヒストンアセチル化酵素を呼び寄せることで、AEPのリクルートを増強するが、ENLやAF9などの融合パートナーは直接結合を介してAEPをリクルートするため、HBO1にあまり依存しない傾向がある事がわかった。HBO1は白血病幹細胞の維持に必要である事が同時期に複数のグループからも報告され、MLL白血病の治療標的として有望であることが示唆された。さらに、MLLは非メチル化CG配列に富んだプロモーター上でMOZ/MORFヒストンアセチル化酵素複合体とも結合し、広範な遺伝子プロモーターを活性化する事を見出した。これらの成果はMLLキメラがMLL、MOZ、AEP、HBO1を介した転写活性化システムを恒常的に活性化するという“統一的なメカニズム”によって白血病を引き起こしている事を示した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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