研究課題
Aire欠損症は比較的稀な自己免疫疾患であるが、Aireという単一遺伝子の異常により自己免疫病態を示すため、疾患モデルマウスを作製して病気のメカニズムを研究できるメリットがある。今年度は、前年度に作製したAire遺伝子改変マウスを用いて、Transcriptome解析やSingle-cell analysisといった最先端の方法論を導入して、Aire機能の解明に取り組んだ。すなわち、P2Aリンカーを用いて内在性のAire遺伝子座にマウスAire cDNAを2コピー付加したノックインマウス(以下、3xAire-KIと略す)の胸腺髄質上皮細胞(mTEC)からmouse Aireの発現レベルを測定し、ヘテロ3xAire-KIでは野生型の2倍、ホモ3xAire-KIにおいては野生型の3倍と期待通りのAire mRNAの発現していることを前年度に続いて確認した。次いで、Aireの過剰発現によるmTECのTranscriptome解析を実施したところ、意外にもAire欠損マウスと同様に様々な遺伝子の発現が低下していた。すなわち、Aireはその欠損によってmTECにおける自己抗原の発現が低下するのみならず、その過剰発現によっても自己抗原の発現が低下するという予想外の結果を得た。そのメカニズムを解析すべくSingle-cell analysisを実施したところ、野生型と異なり3xAire-KIでは成熟mTECの構成に大きな変化があることが明らかとなった。他方、これまでのRNA発現のみを測定するscRNA-seqに加えて、今年度はchromatinの状態を評価するATAC-seqを同じくsingle-cellレベルで行うscATAC-seqを導入した。このscMultiome-seqを用いて、AireがどのようにmTECにおける遺伝子発現調節機能を発揮しているかについて現在も検討中である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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