インスリン抵抗性は、糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症、動脈硬化など様々な疾患の基盤病態であり、認知症や癌などの病態との関連も注目される。インスリン抵抗性を改善する薬剤は多くの疾患の治療に寄与する可能性があるが、既存の薬剤は十分な臨床ニーズを満たしていない。また、インスリン抵抗性関連疾患の中でも、NASHは今後、肝硬変や肝癌の最大の原因となる重要な疾患であり、治療薬の開発が期待されているが、発症の分子機構には不明な点も多い。今回、LTB4経路がインスリン抵抗性やその関連疾患の発症に関わることが明らかになったが、これらの発見は、新たな代謝疾患治療薬の開発に繋がる可能性がある。
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