研究課題
サーチュイン(哺乳類ではSIRT1-SIRT7)はNAD依存性の脱アセチル化酵素であり、代謝やストレス応答、炎症、老化などの制御に関与している。申請者はSIRT7が肝臓における脂肪蓄積制御に関与していることを見出したが(Cell Metabolism 2014)、その他の臓器におけるSIRT7の代謝制御については不明であった。本研究において、申請者は白色脂肪組織(WAT)や褐色脂肪組織(BAT)におけるSIRT7の代謝作用について検討を行った。PPARgは脂肪細胞の分化や機能を制御するマスター転写因子である。本研究の結果、SIRT7はPPARgと結合し、PPARgの382番目のリシン残基を脱アセチル化する作用を有していることが判明した。脱アセチル化を模倣するK382R-PPARg変異体およびアセチル化を模倣するK382Q-PPARg変異体を作製し、その機能について検討したところ、K382Q変異体のリガンド依存性転写活性は、KR変異体に比して低下しており、KQ変異体発現脂肪細胞においては、脂肪合成に関する遺伝子(Srebp1c、Acaca、Fasn、Scd1)の発現が低下していた。またこれら遺伝子の発現低下は、SIRT7ノックアウトマウス脂肪組織においても認められた。以上の結果から、SIRT7はPPARgを脱アセチル化することでPPARgの転写活性およびその下流の脂肪合成に関する標的遺伝子の発現を制御する作用を有することが明らかになった(J Diabetes Invest 2021)。UCP1は褐色脂肪細胞特異的に発現する熱産生遺伝子であり、全身のエネルギー代謝を制御する働きを有する。SIRT7欠損状況では、UCP1の発現上昇が認められ、熱産生が亢進することが明らかになった。SIRT7は他のサーチュインとは異なり、熱産生抑制的に作用することが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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https://www.kumamoto-medbiochem.com/