研究課題/領域番号 |
19H03712
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コレステロール / マクロファージ / インスリン抵抗性 / 脂肪肝 / 肥満 / 炎症 |
研究実績の概要 |
単球・マクロファージ等の免疫細胞は2型糖尿病や脂肪肝/NASHの病態形成に密接に関連する。骨髄細胞(単球・マクロファージと好中球)特異 的にHMG-CoA還元酵素(HMGCR)を除去したマウス(M-HmgcrKO)ではインスリン抵抗性および脂肪肝の改善が確認された。 1)8週齢雄マウスを60%kcalラード含有高脂肪食(HFD)または12%kcal脂肪含有普通食(NCD)で24週間飼育した。摂餌量・体重・精巣上体脂肪組織(eWAT)重量・肝臓増量はfloxedHmgcrとM-HmgcrKOとの間に有意な差を認めなかった。CTで評価した脂肪組織の分布にも差は認められなかった。2)ブドウ糖負荷試験とインスリン負荷試験で評価した耐糖能・インスリン感受性は、floxedHmgcrに比してM-HmgcrKOで改善した。インス リンip後のp-Akt/Aktも肝臓・eWAT・腓腹筋においてfloxedHmgcrに比してM-HmgcrKOが有意に増加した。3)eWATにおけるF4/80陽性のCrown-like structure(CLS)は、floxedHmgcrに比してM-HmgcrKOで有意に低値を呈した。細胞分裂(Ki67陽性細胞)とアポトーシス(TUNEL)細胞数には2群間で有意差はなかった。4)eWATにおける遺伝子発現解析の結果、マクロファージマーカーF4/80・CD68、M1マーカーCD11c、炎症性サイトカインTnfa、Il1b、Mcp1はfloxedHmgcrに比してM-HmgcrKOで有意に減少した。マグネティックビーズで単離したF4/80陽性細胞において比較すると、NnfaのみfloxedHmgcrに比してM-HmgcrKOで有意に減少した。5)肝臓におけるTG蓄積量はfloxedHmgcrに比してM-HmgcrKOで有意に減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HFD飼育時のM-HmgcrKOの表現型解析は順調に進行している。 予備実験から想定された脂肪肝改善効果やマクロファージの機能変化する理由に関する究明はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪肝改善効果とマクロファージの機能変化の機序に関する実験を中心に推進する。 1)脂肪肝改善効果に関しては肝臓・肝実質細胞・肝非実質細胞における遺伝子発現変化を調べる。肝臓内のマクロファージ系細胞数も定量する。 2)マクロファージの機能変化に関しては、マクロファージ遊走能を評価する。Hmgcrより下流のステロール経路と非ステロール経路の関与に関する検討を進める。
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