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2021 年度 実績報告書

骨髄細胞コレステロール代謝調節によるインスリン抵抗性・脂肪肝制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03712
研究機関自治医科大学

研究代表者

石橋 俊  自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードコレステロール / マクロファージ / インスリン抵抗性 / 脂肪肝 / 肥満 / 炎症
研究実績の概要

骨髄細胞(単球・マクロファージと好中球)特異的にHMG-CoA還元酵 素(HMGCR)を除去したマウス(M-HmgcrKO)ではインスリン抵抗性および脂肪肝の改善が確認された。
1)8週齢雄マウスを60%kcalラード含有高脂肪食(HFD)または12%kcal脂肪含有普通食(NCD)で24週間飼育した。肝臓のTG含量はM-HmgcrKOはfloxedHmgcrの役50%に抑制された。精巣上体脂肪組織(eWAT)とは異なり、肝臓におけるF4/80陽性細胞数は両群間に有意差はなかった。RT-qPCRで遺伝子発現量を比較した。NCDに比較してHFDではCd206の発現が有意に低下した。一方、F4/80, Cd68, Cd11c, Tnfa, Il-1b, Il-6, Mcp-1の発現はHFDとNCD間で有意差はなかった。それぞれの食餌で、全ての遺伝子発現はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrの間に有意差は認められなかった。
2)Boyden chamberを用いてMCP-1に対する遊走脳能を比較した。M-HmgcrKO由来のチオグリコール酸誘導腹腔マクロファージ(TGEMs)の遊走能はfloxedHmgcr由来のTGEMsに比較して有意に低下していた。この低下はsqualeneやFPPの添加では回復しないが、メバロン酸と GGPP添加で完全に回復した。
3)eWATにおけるF4/80とKi67との共陽性細胞数とF4/8とTUNEL共陽性細胞数はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrとの間に有意差は認められなかった。
以上の結果から、HMGCRの欠損はGGPP欠乏の結果、単球・マクロファージの遊走能が低下し、その結果eWATのマクロファージ数が減少し、インスリン抵抗性が改善すると考えられた。この効果は肝臓では確認されなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HFD飼育時のM-HmgcrKOの表現型解析は順調に進行している。
予備実験から想定された脂肪肝改善効果やマクロファージの機能変化の分子メカニズムに関する検討はやや不十分である。TGEMsのラフトを単離する実験や組織のセラミド含量やRNAseq解析が未着手である。

今後の研究の推進方策

1)TGEMsのsmall G蛋白(Ras、Rac1、RhoA、RhoB、Cdc42)やRabファミリーやCCR2に共役するGγのGGPP化を評価する。
2)Triton X100不溶分画(DRMs)またはショ糖密度勾配超遠心によりラフトを調整して、脂質組成を酵素法と質量分析法で 、蛋白分布をWestern blot法で評価する。
3)ステロール経路と非ステロール経路の関与を分離するためマクロファージ特異的なスクワレン合成酵素(Sqs)欠損マウスを作成し、HmgcrKOに行ったのと同様の解析を進める。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Leptin sensitizing effect of 1,3-butanediol and its potential mechanism2021

    • 著者名/発表者名
      Masayo Isoda, Ken Ebihara, Nagisa Sawayama, Akiko Murakami, Chihiro Ebihara, Koji Shibuya, Akihito Takei, Shoko Takei, Tetsuji Wakabayashi, Daisuke Yamamuro , Manabu Takahashi, Shuichi Nagashima, Shun Ishibashi
    • 雑誌名

      Sci Report

      巻: 11 ページ: 17691

    • DOI

      10.1038/s41598-021-96460-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 膵β細胞のHMG-CoA還元酵素欠損は 膵β細胞の減少とインスリン分泌能の低下による糖尿病を誘発する.2021

    • 著者名/発表者名
      永島 秀一, 武井 祥子, 武井 暁一, 原 一雄, 石橋 俊:
    • 学会等名
      第64回日本糖尿病 学会年次学術集会
  • [学会発表] マクロファージの脂質代謝に魅せられて.2021

    • 著者名/発表者名
      石橋 俊:
    • 学会等名
      第53回日本動脈硬化学会総会,
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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