研究実績の概要 |
骨髄細胞(単球・マクロファージと好中球)特異的にHMG-CoA還元酵 素(HMGCR)を除去したマウス(M-HmgcrKO)ではインスリン抵抗性および脂肪肝の改善が確認された。 1)8週齢雄マウスを60%kcalラード含有高脂肪食(HFD)または12%kcal脂肪含有普通食(NCD)で24週間飼育した。肝臓のTG含量はM-HmgcrKOはfloxedHmgcrの役50%に抑制された。精巣上体脂肪組織(eWAT)とは異なり、肝臓におけるF4/80陽性細胞数は両群間に有意差はなかった。RT-qPCRで遺伝子発現量を比較した。NCDに比較してHFDではCd206の発現が有意に低下した。一方、F4/80, Cd68, Cd11c, Tnfa, Il-1b, Il-6, Mcp-1の発現はHFDとNCD間で有意差はなかった。それぞれの食餌で、全ての遺伝子発現はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrの間に有意差は認められなかった。 2)Boyden chamberを用いてMCP-1に対する遊走脳能を比較した。M-HmgcrKO由来のチオグリコール酸誘導腹腔マクロファージ(TGEMs)の遊走能はfloxedHmgcr由来のTGEMsに比較して有意に低下していた。この低下はsqualeneやFPPの添加では回復しないが、メバロン酸と GGPP添加で完全に回復した。 3)eWATにおけるF4/80とKi67との共陽性細胞数とF4/8とTUNEL共陽性細胞数はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrとの間に有意差は認められなかった。 以上の結果から、HMGCRの欠損はGGPP欠乏の結果、単球・マクロファージの遊走能が低下し、その結果eWATのマクロファージ数が減少し、インスリン抵抗性が改善すると考えられた。この効果は肝臓では確認されなかった。
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