研究課題
HMGCoA還元酵素(Hmgcr)のfloxedマウスとスクワレン合成酵素(Fdft1)のfloxedマウスとマクロファージ特異的Cre発現マウスを交配して、マクロファージ特異的にHmgcr(M-HmgcrKO)またはFdft1を欠損するマウス(M-Fdft1KO)を作成した。それぞれ高脂肪食で飼育し、耐糖能・インスリン感受性を評価した。M-HmgcrKOでは耐糖能とインスリン感受性が改善したが、M-Fdft1KOでは耐糖能にもインスリン感受性にも差が認められなかった。またM-HmgcrKOではでは肝臓のトリグリセリド蓄積量が野生型マウスに比較して優位に低下したが、M-Fdft1KOでは有意な差が認められなかった。M-HmgcrKOの白色脂肪組織や肝臓では炎症性サイトカインマーカーなどの発現量が有意に低下し、マクロファージの数も減少した。M-Hmgcr由来のマクロファージの遊走能は野生型由来マクロファージのそれに比較して低下しており、geranylgeranylpyrophosphate (GGPP)の添加で正常化したが、コレステロールやfarnesylpyrophosphase (FPP)添加では改善しなかった。マクロファージのHmgcrの欠損は低分子G蛋白のisoprenylationの低下を介して、マクロファージの遊走能が低下したと推測した。しかし、RhoA、RhoB、Rac1、cdc42の細胞膜と細胞質の局在を調べると、予想に反して、RhoAとRac1の膜分画への分布が増加していた。逆説的ではあるがこれらの低分子G蛋白の活性亢進がマクロファージの遊走能が低下をきたし、その結果脂肪組織在住マクロファージや肝臓在住マクロファージの減少を招き、高脂肪食飼育に伴うインスリン抵抗性や脂肪肝の軽減をもたらしたと考えられた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Biol Chem
巻: 298 ページ: 102322
10.1016/j.jbc.2022.102322
巻: 298 ページ: 101936
10.1016/j.jbc.2022.101936