研究課題
本研究では、高リスク神経芽腫の対する治療法として、マウスモデルに対する間葉系幹細胞(MSCs)によるHoming効果と抗GD2抗体を用いた免疫療法を組みわせたGD2-MSCsによる新規細胞免疫療法の開発を目的とした。GD2-MSCsは、抗腫瘍抗体を腫瘍局所で産生できるという点で、全身投与時の副作用の回避と局所薬剤濃度の上昇を達成できる画期的な治療法であり、将来的にはGMP準拠医薬品として製造し、医師主導治験を経てHigh risk神経芽腫に対する地固め療法として臨床導入を目指す。これまでにヒトIgG抗体を分泌するGD2-MSCsの開発を行い、in vitroでの抗体の産生、抗原結合能、神経芽腫細胞による腫瘍増殖抑制、NKによるADCC活性は確認出来たが、一方でin vivoでは神経芽腫マウスモデル(TH-MYCN transgenic mouse)での投与実験において生存率の延長は確認できなかった。そのため抗体のFcγをヒトIgGからマウスIgGに変更したマウスIgG-GD2-MSCsを開発した。さらに、マウスモデルも局所増大性の強い神経芽腫マウスモデルから腫瘍片をwild type マウスの皮下に移植することで腫瘍径が直接観察可能なSyngeneicマウスモデルに投与することとした。In vitroにてマウスIgG-GD2-MSCsの抗GD2抗体の細胞外分泌、GD2発現腫瘍細胞への分泌抗体の結合を確認した。In vivoにおいて皮下腫瘍への腹腔内投与による腫瘍へのHoming効果、皮下腫瘍局所投与による腫瘍増大抑制効果、腫瘍へのNK細胞浸潤増加を確認することが出来た。GD2-MSCを用いた細胞療法は低侵襲がん免疫細胞療法として転移巣を含む高リスク神経芽腫の新しい治療戦略になる可能性があることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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