研究課題/領域番号 |
19H03721
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
上野 貴之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 乳腺外科, 部長 (40452362)
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研究分担者 |
戸井 雅和 京都大学, 医学研究科, 教授 (10207516)
清谷 一馬 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター 免疫ゲノム医療開発プロジェクト, 主任研究員 (30433642)
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
LOW SIEWKEE 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター 免疫ゲノム医療開発プロジェクト, 研究員 (40634720)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 間質反応 / 内分泌療法 / CDK4/6 / 三次元培養 / バイオインフォーマティクス |
研究実績の概要 |
ホルモン療法における間質細胞の反応や、分子プロファイルの変化を明らかにし、さらに、間質細胞のどのような状態や組み合わせが治療反応性や抵抗性に影響するかを明らかにし、間質特性を考慮した新たな治療戦略を考案することを目的として、三次元培養系を用いた候補分子の同定を試みた。 まず、三次元培養系により、治療反応性に影響するがん細胞、間質細胞の候補分子の同定を行うため、間質細胞として、もともと使用していた皮膚線維芽細胞ではなく、より実際の乳房環境に近い状態を作るため、乳腺線維芽細胞を使用した。乳腺線維芽細胞の培養条件や反応性を確認し、安定して乳腺線維芽細胞の培養ができることを確認した。さらに、三次元培養系での生着率や増殖能を確認し、三次元培養系での培養の適正化を行った。その後、がん細胞と乳腺線維芽細胞の共培養(三次元培養)系を用い、エストロゲン枯渇条件下において、がん細胞(MCF7, T47D)、乳腺線維芽細胞のそれぞれの遺伝子発現の変化と代謝物の変化を解析するため、培養後の細胞と培養上清の回収をおこなった。候補分子、候補パスウェイの同定については、研究分担者杉本がマイクロアレイとプロテオミクスを用いて解析中であり、AIとバイオインフォーマティクスを用いた解析を予定している。 さらに臨床試験検体において、間質細胞における候補分子の発現やその変化とがん細胞の治療反応性について解析を行うため、臨床試験を開始しており、現在患者登録を進めている。また、現在使用されているホルモン療法について、現状と課題、さらにアジアと欧米の違いについてまとめ、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、間質細胞として皮膚線維芽細胞を用いて計画していたが、より乳房内の状態を反映していると考えられる乳腺線維芽細胞を入手可能となったため、その細胞の準備や培養条件の検討、実験の条件検討に時間がかかった。特に、乳腺線維芽細胞は細胞の増殖が非常に遅いため、培養条件や実験の適正化に予想以上の時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
乳腺線維芽細胞の培養条件の検討や、三次元培養での最適化はできたため、今後薬剤を併用した実験をすみやかに行う予定としている。ただし,現在COVID-19の影響で研究室が閉鎖状態となっているため、開始可能となったら速やかに始める予定で準備中である。
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