研究課題/領域番号 |
19H03728
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
竹内 裕也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20265838)
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研究分担者 |
平松 良浩 浜松医科大学, 医学部, 特任准教授 (00397390)
神谷 欣志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (20324361)
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (70397389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 循環腫瘍細胞 / 定量位相顕微鏡 / negative selection / 人工知能 / 画像認証 |
研究実績の概要 |
血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells : CTC)は腫瘍から遊離し血中へ浸潤した癌細胞であり癌の転移に関わるとされるが、その検出は困難であり様々な手法が試されている。既存のCTC検出方法の多くは上皮系細胞表面マーカーに依存しているため、上皮間葉転換を起こした浸潤性や悪性度の高い上皮系マーカー陰性の細胞集団を検出できない。一方、末梢血液中を循環する有核細胞の殆どは白血球であるため、白血球を除去することによって幅広くCTCを回収できると考えられている(negative selection)。本研究は、形態学的な情報が既知である白血球を定量位相顕微鏡で観察し、その形態情報に基づいて識別し血液から除去することによって(negative selection)、残ったCTCを生きたまま得る全く新しいコンセプトに基づくCTC分取方法の確立を目指す。 これまでの研究開発によって、定量位相顕微鏡を用いた2次元像位相イメージングフローサイトメーターによる「細胞を流す」⇒「細胞を撮影」を実現し、さらに高分解能解析を可能とする3次元像位相イメージングフローサイトメーターの研究開発を行ってきた。2019年度は、健常人20名より20検体および消化器癌患者10名より21検体の末梢血を採取し、前処理した血液サンプルを流路に流し、2次元像位相イメージングフローサイトメーターによって流路内で細胞を観察した。得られた定量位相顕微鏡画像の解像度を、新たな画像処理法により向上させた後に、人工知能(AI)による画像認証システムで解析し、白血球と非白血球の識別を行った。非白血球と識別された有核細胞はCTC候補として記録保存し、今後の検討に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目標は、2次元像と3次元像の位相イメージングフローサイトメーターを組み合わせた「2段階CTC識別法」における、「自動細胞認識」⇒「分取」技術の開発および臨床応用に向けた診断機器の開発であり、この実現のためには基本技術となる2次元像位相イメージングフローサイトメーターの測定精度向上が必須である。2019年度は、2次元像位相イメージングフローサイトメーターによる測定画像の精度向上を新たな画像処理法によって達成しており、次年度以降の研究における問題点を克服する上でも有用な結果である。一方、CTC候補として認識された細胞を流路系から分取する技術の開発には課題があり、具体的な成果はまだ得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
2次元像と3次元像の位相イメージングフローサイトメーターによる「2段階CTC識別法」の実現には、定量位相顕微鏡観察の安定に加え、2つのカメラを電気的に連動して稼働させる必要がある。浜松ホトニクス社との共同研究によって、電気回路およびソフトウェアの開発を推進し、2段階CTC識別に必要なシステムを構築する。また、本システムによって識別された細胞が真のCTCであることなどを直接証明するためには、CTC候補として認識された細胞を流路系から分取し、分子生物学的解析を行い各細胞の特性を同定する必要がある。 2段階CTC識別法による自動細胞認識装置が安定して稼働した段階で、細胞の分取装置との融合を目指す。基本的には、既存のフローサイトメーターにおける細胞分取技術を用いるが、本システムに最適な分取装置として新規開発を試みる。また、装置の開発と並行して、培養細胞やマウスモデルのみならず臨床検体を用いた測定を繰り返し行い、学術研究機器としての普及および診断機器としての普及へ向けた、装置の機能評価を行う。
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