研究課題
腫瘍組織内免疫担当細胞の役割は、抗腫瘍効果に貢献する効果細胞群と抗腫瘍効果を抑制する抑制細胞群に大分され、両細胞群の正・負のバランスから腫瘍の増殖が制御されている。がん種間・症例間でそのバランスは多様化しており、腫瘍免疫療法の有効性が限定的であるのは、このバランスの多様化が一因となっている。今年度は、過年度より継続しているフローサイトメーターを用いた生細胞解析に加え、腫瘍内免疫担当細胞の効果細胞側と抑制細胞側について遺伝学的・組織学的に裏付けするデータを新たに取得し、臨床データとの比較解析を実施した。対象としたがん種は、当初の計画より増加し、最終的には、食道がん・胃がん・大腸がん・肝がん・頭頚部がん・口腔がん・肺がん・胸腺腫・乳がん・皮膚がん・卵巣がん・泌尿器がんとなり、がん種横断的に解析を実施した。また、当初の計画時に効果細胞側の解析対象として含めていなかったNK細胞にも解析対象を広げ、フローサイトメトリーを用いた生細胞の機能に基づく分画・機能解析を実施した。抑制細胞側については、新規に発見した制御性T細胞(Treg)マーカー分子のCCR8を用いて、CCR8陽性Tregの腫瘍免疫抑制機能に関するデータを蓄積した。今年度までに得られた知見を総合的に活用し、CCR4陽性Treg除去作用を持つモガムリズマブの医師主導治験から得られた固形がん(食道がん・胃がん・肺がん・皮膚がん・卵巣がん 合計39症例)の患者検体を用いて、モガムリズマブ投与後に長期生存が認められた患者の要因を探索し、NK細胞の疲弊並びにセントラルメモリCD8T細胞上のCCR4発現が低いために当該細胞が維持されていることが、長期生存の要因であることを見出した。またニボルマブ投与胃癌症例においても解析を加えているところである。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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