研究課題
2022年度は継続して当初の研究計画および前年度からの研究結果に基づき研究を遂行した.予定していた前臨床研究を行うために,Patient-Derived Xenograft mouse Model(PDX-M)の作成に取り組み,成功し得た.手術時の切除標本から単離した膵癌組織をヌードマウスの皮下に移植し,数世代にわたる継代を重ねて,膵癌組織再構成系を作成できるし得た.この腫瘍は組織学的にも元腫瘍と類似し,腫瘍としての増殖率も変わらずに維持し得ることを確かめた.このPDX-Mモデルを用いて,抗腫瘍効果を示す物質Xを投与する治療実験を行い,前臨床モデルとしての有用性を確認した.同時に有害事象の検討をできることも確認した.また前年度に引き続き,難治癌としての胆道癌,再発肝細胞癌,さらには希少小児腫瘍においても,治療抵抗性マーカーとしての腫瘍細胞CD200発現の免疫組織染色を行い,臨床病理学的因子との関連性について検討を行っ結果,概ね一致した普遍的な結果を得た.治療抵抗性考えられる症例では,有意にCD200発現が高く,またCD200発現陽性群の予後は陰性群に比して有意に不良であった.また,CD4, CD8,CD45RO陽性TILはCD200 陽性群で陰性群に比していずれも有意に少なかった.以上から多くの難治癌において,CD200は宿主免疫回避機構に影響し,さらには治療抵抗性に関わることが示唆された.CD200が新たな消化器癌治療におけるバイオマーカーとなるとともに,治療標的分子としても有用である可能性を確認し得た.これまでに統計解析を終了し,論文投稿中である.今後は新たな免疫分子との相関,関連性の解明や CD200阻害と免疫治療や化学療法,さらには放射線治療との併用療法の相乗効果の検討を慎重にすすめていく予定である.得られた結果に基づき,創薬にも繋げていくことを最終目標としている.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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