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2019 年度 実績報告書

高齢ドナーからの肺移植成績は何故不良なのかー機序の解明と治療介入戦略の確立―

研究課題

研究課題/領域番号 19H03744
研究機関東北大学

研究代表者

岡田 克典  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)

研究分担者 大石 久  東北大学, 大学病院, 助教 (60451580)
松田 安史  藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00455833)
野田 雅史  東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
藤野 直也  東北大学, 大学病院, 助教 (10633670)
兼平 雅彦  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941)
大河内 眞也  東北大学, 事業支援機構, 講師 (40375035)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード肺移植 / 虚血・再灌流傷害 / 高齢 / マウス
研究実績の概要

高齢ドナーから提供された肺が、虚血・再灌流ならびにアロ免疫反応というストレスに晒された際に発現が亢進または減弱する分子をスクリーニングし、高齢肺に特徴的な分子生物学的動態を明らかにすること目的として研究を行なった。
2019年度は、まず高齢肺の虚血・再灌流負荷への反応を検討した。雄性 C57BL/6Jマウスを人工呼吸器に接続後、左開胸して左肺動脈、左肺静脈および左主気管支を90分遮断し、虚血・再灌流傷害を誘発した。マウスを再灌流後1時間、1日、3日、7日、28日で犠牲死せしめ、左肺を摘出し、肺湿乾重量比の測定と病理学的検索を行った。実験群として、生後8週のマウス(幼若群)、生後24ヶ月マウス(老年群)を設けた。
虚血・再灌流後1時間において、高齢肺では若年肺に比べ肺湿乾重量比が有意に増加していた。病理学的な検索では、浮腫と好中球浸潤が高齢肺で有意に顕著であった。また、慢性期(28日)における病理学的検討では、若年肺ではほぼ正常な所見を呈したのに対し、高齢肺では肺胞構造の破壊、肺組織の線維化がところどことに見られた。
以上のことから。高齢肺においては、虚血・再灌流負荷後の肺水腫がより顕著に生じ、さらにその変化が慢性期における肺胞構造の破壊、線維化へと繋がっている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで、虚血・再灌流負荷に対する耐性を、高齢肺と若年肺で比較した研究はほとんどないが、本研究の結果から、高齢肺においては、虚血・再灌流負荷後の肺水腫がより顕著に生じ、さらにその変化が慢性期における肺胞構造の破壊、線維化へと繋がっている事が明らかになった。この結果は、申請者らの当初の仮説とほぼ合致するものであった。

今後の研究の推進方策

今後は、保存してある検体のマイクロアレイ解析を行い、虚血・再灌流というストレスに晒された際に発現が亢進または減弱する分子をスクリーニングし、高齢肺に特徴的な分子生物学的動態を明らかにする。また、フレッシュな検体を用いてメタボローム解析を行う。メタボローム解は、東北大学メディカルメガバンクのGC-MS、LC-MS、LE-MS装置により素データを得たのち、KEGGデータベースと主成分解析を用いて、全体像を俯瞰することにより行う。一方、ストレスに対する脆弱性は個々の肺構成細胞で異なることが予想されため、肺を細切・消化し、単一細胞(シングルセル)にした後、フローサイトメトリーを用いて、①II型肺胞上皮細胞,②クラブ細胞(以前のクララ細胞)、③内皮細胞,ならびに④間葉系細胞を分取し(I型肺胞上皮細胞の分離法は検討中)、それぞれの細胞分画毎にマイクロアレイとメタボローム解析を行う。単一細胞懸濁液は、Dispase/Collagenase/DNaseを用いて作成する。CD45/VE-cadherin/ EpCAM/ Sca-1/ CD24に対する抗体を用いて先行研究に基づきFACSにて分離する。

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公開日: 2021-01-27  

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