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2021 年度 実績報告書

高齢ドナーからの肺移植成績は何故不良なのかー機序の解明と治療介入戦略の確立―

研究課題

研究課題/領域番号 19H03744
研究機関東北大学

研究代表者

岡田 克典  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)

研究分担者 松田 安史  藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00455833)
藤野 直也  東北大学, 大学病院, 助教 (10633670)
大河内 眞也  東北大学, 事業支援機構, 講師 (40375035)
大石 久  東北大学, 大学病院, 講師 (60451580)
野田 雅史  東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
兼平 雅彦  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード肺移植 / 虚血・再灌流傷害 / 高齢ドナー / RNAシークエンス
研究実績の概要

肺移植におけるドナー不足の解決策として高齢ドナー肺の活用が挙げられる。しかし、高齢ドナー肺を用いた肺移植レシピエントの予後は不良であり、その機序の解明と治療標的の発見が期待される。本研究では虚血再灌流傷害(ischemia-reperfusion injury: IRI)に着目し、若年マウスと高齢マウスの肺IRIモデルを用いて、IRIへの応答として高齢マウス特異的な生物学的特徴とその分子基盤の解明を目指した。
全身麻酔下にマウスの肺門構造物を一括して60分間遮断する肺IRIモデルを用いた。若年マウス(2ヶ月齢)と高齢マウス(22ヶ月齢)についてIRI後の生存率を比較し、生理学的・病理組織学的に肺水腫を評価した。肺組織を用いたRNAシーケンス(RNA-seq)を行い、高齢マウス特異的な遺伝子発現を評価した。そこで見出された炎症、アポトーシス、細胞増殖についてさらに検討した。
若年マウスと比して、高齢マウスではIRI後の生存率が低下した。高齢マウスで肺水腫は重症化・遷延化した。RNA-seq解析では、IRI 1日後に若年マウスは細胞増殖が亢進していた。一方、高齢マウスでは細胞増殖はみられず、炎症が遷延しており、IL-6/ JAK/ STAT3経路やTNF-α経路が活性化していた。免疫組織化学染色ではIRI後にアポトーシス細胞が増加している一方、2型肺胞上皮細胞の増殖は少なかった。
加齢によりIRI後の肺水腫が重症化・遷延化し、生存率が低下した。そのメカニズムとして、高齢マウスでは過剰な炎症反応が遷延すること、アポトーシス細胞が増加すること、2型肺胞上皮細胞の増殖が少ないことが寄与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度末までに虚血・再灌流肺のRNAシークエンスとサイトカインのRT-qPCRを終了することができた。2022年度は、高齢肺で炎症がより強く惹起されそれが遷延するすることがわかったため、それを改善させるためのインターベンションに関わる実験へ進むことができる。

今後の研究の推進方策

マウス虚血・再灌流モデルを用いて、高齢肺の炎症を抑制し、虚血・再灌流傷害を抑制するためのインターベンションに関わる実験を進める。具体的には、1.酸化ストレスの軽減、2.IL-6/ JAK/ STAT3経路の活性化の抑制、の二つの方法を用いて、虚血・再灌流傷害が抑制されるかどうかについて検討する。

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公開日: 2022-12-28  

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