研究課題/領域番号 |
19H03748
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
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研究分担者 |
清水 章 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00256942)
関島 光裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (20568589)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 肺胞マクロファージ / トランスレーショナル研究 / 肺移植 / 異種移植 / ミニブタ |
研究実績の概要 |
肺に豊富に存在する免疫担当細胞であり、かつ自然免疫系亢進と獲得免疫系活性化の双方に重要な役割を果たすマクロファージのうち、移植後長期にドナー肺に存在し、拒絶反応に重要な役割を果たしうる肺胞マクロファージAMに着目し、最終目標として、異種肺移植成績向上の新たな標的因子としてのAMの可能性の解明を目的とする実験により、免疫寛容誘導を含めた新たな同種・異種拒絶反応治療戦略の確立をはかる研究を実施している。 これまでに異種移植実験として、マクロファージの制御に着目した実験として、ブタCD47と霊長類間SIRPα不適合に起因する霊長類マクロファージの異常機能亢進を制御する目的で、ヒトCD47をブタに遺伝子導入し(+GalT-KO、補体活性制御因子導入)、骨髄移植による免疫寛容誘導戦略を併用することにより、異種肺移植の成績延長を試みる実験を実施した。①hCD47導入ブタの骨髄を移植した全てのヒヒは30日以上マクロキメリズムを維持し、2匹は8週間以上キメリズムを維持し、またヒヒの抗ブタ抗体レベルが経時的に低下し、抗ブタ細胞に対し無反応性が生じた(従来は21日でキメラ消失)。②骨髄移植ドナーにマッチしたブタの肺を骨髄移植約1か月後に移植ところ、2週間まで生存期間が延長した。一方hCD47陰性のブタ肺の移植では生存期間は最大4日以内にとどまった。 このように、マクロファージを制御することにより、異種肺移植の成績向上が得られることが明らかとなったが、依然としてその成績は他の移植より大きく劣ることから、グラフト内の免疫応答を司る新たな病変進展/制御/治療標的因子の探索は必須であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画に従って、マクロファージに着目することによって、異種肺移植の生着延長を達成する戦略の開発に到達し、かつその限界に関しても考察が進んでいることから、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージを制御することにより、異種肺移植の成績向上が得られることが明らかとなったが、依然としてその成績は他の移植より大きく劣ることから、グラフト内の免疫応答を司る新たな病変進展/制御/治療標的因子の探索は必須であると考える。令和4年度は特にこの点の解明をはかる基礎実験に着手したい。
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