研究課題
【目的】慢性腰痛はADL低下や就労困難に関連し、その要因が特定しにくいことから、病態の解明が課題となっている。近年、慢性腰痛は中枢神経系の変化と関連していることが報告されている。本研究では地域高齢住民における痛み関連脳領域の脳容積と慢性腰痛の関連を検討した。【方法】2017~2018年に福岡県久山町の住民健診を受診し、頭部MRI検査を受けた対象者のうち、脳卒中および認知症の既往のない65歳以上の住民1,106名を解析対象とした。頭部MRIの解析にはFreeSurferを使用し、頭蓋内容積に占める領域別脳容積割合(%)を算出した。慢性疼痛の定義は3ヶ月以上前からある痛みとした。慢性疼痛の有無および主要慢性疼痛部位で対象者を以下の3群に分類した:慢性疼痛なし群(n=541)、慢性腰痛群(n=189)、腰部以外の慢性疼痛群(n=376)。統計解析は共分散分析を用い、調整変数は、年齢、性別、教育歴、婚姻状況、主観的経済状況、高血圧、糖尿病、血清総コレステロール値、BMI、現在の喫煙習慣、現在の飲酒習慣、運動習慣、MRI上の脳血管病変、ADL障害、抑うつ症状とした。【結果】前頭前野腹外側部および背外側部、後帯状回、扁桃体の多変量調整後の脳容積割合は、慢性疼痛なし群と比べて慢性腰痛群で有意に小さかった(全P < 0.05)。一方、慢性疼痛なし群と腰部以外の慢性疼痛群の間には、これらの痛み関連脳領域の脳容積割合に有意差は認めなかった。さらに、Query, Design, Estimate, Contrastインターフェイスを用いて、特定の関心領域を設定せずに皮質容積を網羅的に解析したところ、慢性疼痛なし群に比べて慢性腰痛群で、左上前頭回に有意に脳容積が低下したクラスターが同定された。【考察】地域高齢住民において、痛み関連脳領域の容積低下と慢性腰痛の関連が示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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