研究課題
正常時に血管内に存在するグリコカリックスは炎症により障害され、血管透過性亢進が生じる。この中で浮腫により開大した血管外腔の周辺組織表面を覆うように薄いグリコカリックス層が出現することを確認されている。本研究は血管炎後に血管外に生じるグリコカリックスの由来と役割を明らかにし、浮腫改善による臓器障害抑制を目的とした治療を開発する。グリコカリックスの成分の一つであるヘパラン硫酸の合成に必須の糖転移酵素であるEXT1を血管内皮特異的にノックアウトしたマウス(VcreEXT1)を作成し、このマウスにおいてはその血管内皮グリコカリックスの構造が破綻し血管内皮細胞の表面が血管内腔に露出していることが確認できた。次にこのマウスにリポ多糖(LPS)LPSを15mg/kgのDoseで腹腔内投与を行ったところ、野生型マウスにおいては生存率が75%であったのに対し、VcreEXT1はその生存率が25%と有意に低下していた。次に体液貯留モデルとして腎亜全摘モデルを用いて血管内皮グリコカリックスの障害を調べたところ、腎臓だけでなく遠隔臓器である肺、心臓、肝臓の血管内皮グリコカリックスは障害されており、間質に血管内皮グリコカリックスが周辺組織を覆うように存在していることを確認できている。また、心不全モデルとしてデルタサルコグリカンノックアウトマウスを用いて同様の検討を行ったところ、腎亜全摘モデルと同様に血管内皮グリコカリックスが他臓器で傷害されていることが確認できている。
2: おおむね順調に進展している
体液貯留モデルマウスでの検討が進行中でありおおむね順調に進展している。
さらにメカニズムの検討を行っていく。
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