研究課題
重度外傷や熱傷、敗血症、熱中症などの侵襲により多臓器不全が引き起こされ、治療に難渋しその死亡率も未だ高い。このような生体侵襲時には補体活性化が生じ、過剰な補体活性化により血栓性微小血管症(Thromboticmicroangiopathy:TMA)が引き起こされる。TMAは全身臓器の微小血管の血栓形成と、血管内皮細胞障害を呈する。しかし、生体侵襲時の補体活性化による多臓器不全の機序については未だ明らかでない。前年度に行った熱中症患者における補体活性の測定に引き続き、今年度は重症コロナ感染症および敗血症患者の補体活性化につき測定を施行した。順天堂大学浦安病院救命救急センターに入院した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者30名。C3a、C5a、Ba、sC5b-9、sCD59、Fctor Hは健常人に比較し有意に上昇していた。また、敗血症患者31名についても同様の測定を施行し、C3a、C5a、Ba、sC5b-9、sCD59は健常人に比較し有意に上昇していた。COVID-19と敗血症患者の比較ではC3aのみCOVID-19が有意に上昇していたが、それ以外の補体活性因子では有意差を認めなかった。上記に加えて補体活性化による血管内皮障害についても評価した。正常な血管内皮細胞はグリコカリックスで裏打ちされているが内皮障害が起こると本構造が破壊され、グリコカリックスが血液中へ遊離することが知られている。Syndecan-1はグリコカリックスを構成する成分であるが、血管内皮細胞障害の指標として血液中のSyndecan-1を測定した。Syndecan-1はCOVID-19および敗血症患者において健常人に比較し有意に上昇しており本疾患において血管内皮細胞障害が起こっていることが示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Critical Care Explorations
巻: - ページ: -
Impact
巻: 5 ページ: 28-30
10.21820/23987073.2021.5.28