研究課題/領域番号 |
19H03765
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊東 雅基 北海道大学, 大学病院, 助教 (10399850)
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研究分担者 |
内野 晴登 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40775144)
杉山 拓 北海道大学, 大学病院, 講師 (70748863)
藤村 幹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00361098)
佐藤 典宏 北海道大学, 大学病院, 教授 (50360912)
矢部 一郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60372273)
寳金 清博 北海道大学, -, 総長 (90229146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | もやもや病 / 発症素因 / 病態修飾因子 / 血漿microRNA / エピゲノム / RNF213 / 創始者変異 |
研究実績の概要 |
研究年度の4年目にあたる2022(R4)年度は、前年度末までの3年間(2019年から2021年)に実施、完了した全対象者の末梢血循環血漿から抽出・精製・定量した、末梢血血漿microRNAの発現解析結果に基づき、予定していた以下の解析を実施した。すなわち、対象とした全160検体(もやもや病患者82名、健常比較対照者78名)、24microRNAの中から、健常者対照群に比べ、疾患群で有意な発現変動を認めたhsa-miR328-3p(発現変動比1.867)、hsa-miR4481(0.712)、hsa-miR718(0.9395)について、それぞれの発現量と、もやもや病の臨床的特徴として、発症年齢、性別、病型(脳虚血型と出血発症型)、家系内発症の有無、RNF213創始者変異の有無、出血リスクの高いもやもや血管の有無(choroidal channel)との関連を解析した。その結果、健常者群との発現変動量の最も大きかったhsa-miR328-3pは、もやもや病の様々な臨床的特徴と関連を示した。このため、hsa-miR328-3pはもやもや病の病態修飾因子である可能性が高いと考えられた。病態修飾のメカニズムを探索するために、hsa-miR328-3pの患者くも膜構成細胞での発現を解析することとし、その条件設定を開始した。すなわち、別のもやもや病コホート(手術例)から採取保存済みの、ホルマリン固定後パラフィン包埋くも膜を利用し、FISH解析を行うためのhsa-miR328-3p特異的プローブ設計を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もやもや病の病態修飾因子としてエピゲノムバイマーカーの特定に至ったため。さらに研究成果のインパクトを高めるため、その機能検証、メカニズム検証に予定通り研究最終年度の前に入ることができており、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
hsa-miR328-3pのFISHを、くも膜検体を用いて実施するにあたり、ポシティブコントロール、ネガティブコントロールとなる組織検体、あるいは強制発言させた組織作製が必要であり現在検討中である。但し現時点でその条件設定には時間と費用をようす可能性が高いことからまず実際の20検体(もやもや病くも膜検体10、非もやもや病比較対照くも膜検体10)を用いてFISH発現解析を行い、2群間での比較を行い、循環血液中で、健常者群に比し約1.9倍の発現変動を示したhsa-miR328-3pが、もやもや病のくも膜上でどのような発現状態を示すのか?検証して研究の最終年度の成果として、もやもや病のエピゲノム血液バイオマーカー探索ー血漿microRNAの包括的検証ーの結論を出したい。
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