脊髄損傷の病態に於いて亜鉛が与える影響は殆ど解明されていなかった。本研究に於いてセルソーターやレーザーマイクロダイセクションを用いた細胞選択的な発現遺伝子解析を行なった結果、損傷の程度に応じて損傷部の脊髄亜鉛濃度が上昇していること、逆に血清亜鉛濃度は低下していることが明らかとなった。これは、亜鉛トランスポーターZIP8を介したモノサイトにおける亜鉛の取り込みが重要であった。さらに血清亜鉛濃度の測定により、脊髄損傷の最終的な予後を予測できることをマウスモデル並びに臨床データで明らかにした。低亜鉛動物モデルでは脊髄損傷の予後は著しく悪化しており、亜鉛補充が予後悪化を防ぐ鍵となる可能性が示唆された。
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