研究課題/領域番号 |
19H03776
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
位高 啓史 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60292926)
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研究分担者 |
松崎 典弥 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00419467)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | mRNA医薬 / 関節軟骨 / 変形性関節症 / 転写因子 |
研究実績の概要 |
本研究は、mRNA医薬を用いて軟骨変性抑制・軟骨再生治療を行うことを目標とし、そのための治療因子の選択・最適化、機能評価を行うものである。評価手法として、通常の培養細胞に加え、より生理的な軟骨細胞に近い環境を得るため、3次元細胞集積技術・沈殿培養技術によって作成される軟骨モデル組織を用いる。 まず、軟骨細胞の形質を持つ細胞株であるATDC5細胞を用いて、3次元細胞集積技術を用いた軟骨モデル組織の作製方法を確立した。コラーゲンマイクロファイバーをATDC5細胞に混合して、沈殿培養することによって、豊富な細胞外基質を持つ軟骨モデル組織が形成された。また作製条件を変化させると、モデル組織基質内での細胞間距離が変化し、これが軟骨細胞での軟骨マーカー遺伝子の発現、軟骨細胞の分化・成熟と強く相関することを見出した。これらの成果をまとめて、国際学術誌に論文投稿した(ACS Biomaterials Science & Engineering 6:5711, 2020)。 Preliminaryな評価として、通常培養のATDC5細胞を用いて、5種の候補治療因子のmRNA transfectionによる軟骨マーカー遺伝子発現を定量PCRで解析すると、複数の因子で先行研究で効果の確認されているRUNX1とほぼ同等の効果が得られ、複数因子の組み合わせ投与でさらに高い効果の得られる傾向が見出された。軟骨モデル組織を用いた評価も開始しており、今後これを本格化し、治療因子候補の選定、マウス膝OAモデルを用いた評価へと進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度のPCR装置の故障により、治療因子スクリーニングについては約半年ほど想定より計画が遅れたが、軟骨モデル組織の作製方法は確立し、今後急ピッチで実験を進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
RUNX1 mRNAを用いた関節軟骨治療については、2023年度の臨床試験開始を目標とするAMED CiCLEプロジェクトがスタートしており、本研究にてさらに治療効果の高い治療因子の決定、病態に応じた治療因子の最適化を目指して検討を進める。
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