研究課題
本研究は、ヒトCD4陽性T細胞が関節リウマチの炎症関節環境下でどの様な分画がどの様に機能を発揮するのか、またその機能はSox4、Maf、TOX、Blimp1を含めたどの様な転写因子の制御によるのかを詳細に解明することを目的とし行う。そのために、①関節リウマチ炎症関節に浸潤するCD4陽性T細胞を単一細胞レベルでのscRNA-seqにて解析し、関節リウマチ炎症関節環境下CD4陽性T細胞分画の再定義を行う。これにより、これまで知られているCXCL13やPD-1などのTph細胞関連の既知の分子だけでなく、炎症関節環境下CD4陽性T細胞の機能や転写因子に関わる新たな分子の同定を試みる。さらに、②転写因子やEZH2などのヒストン修飾因子の作用機構を転写因子結合領域やヒストン修飾を解析することで解明する。令和元年は、炎症関節に浸潤するCD4陽性T細胞のscRNA-seqを行い、Tph細胞の新たな機能に関わる候補分子やTph細胞とは異なった分画に関する予備的なデータを取得した。さらに、10^3から10^5の細胞を用いて高精度の転写因子結合DNA領域やヒストン修飾解析が可能な新しい手法CUT&RUNを立ち上げ、ヒトT細胞におけるSox4を始めとする転写因子の結合領域やTph細胞で上昇するEZH2により修飾されるH3K27me3などによるヒストン修飾解析に関する予備的データを得た。今後、追加解析を行うことで、令和元年に同定した候補分子や候補分画の炎症病態における機能を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
ヒト検体を用いて解析を行う本研究に於いて、scRNA-seqやCUT&RUNといった手技はその遂行に不可欠であるが、手技的な難易度はある程度高い。3年計画のうちの初年度でこれらの解析の技術的問題を解決しさらに予備的な結果より候補となる分子や分画を得ている。
令和二年度は、関節リウマチ炎症環境下ヒトCD4陽性T細胞のscRNA-seqに加えて、これまでのフローサイトメトリーによる表面抗原と機能の知見を活かすためにCITE-seqを併用して解析を行う。令和元年度に得られた予備的知見とこれらの解析をあわせ、炎症環境下のCD4陽性T細胞分画の再定義を行うと共に、Tph細胞の病態機構にかかわる新たな分子を同定する。さらに、これらの機能分子とSox4、Maf、TOX、Blimp1などの転写因子との関連を解明する。また、今回新たに同定した分画に関しても、炎症病態における役割を解明すると同時にこの分画を制御する転写因子の同定を試みる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Front Immunol
巻: 10 ページ: 1395
10.3389/fimmu.2019.01395
J Clin Rheumatol
巻: - ページ: -
10.1097/RHU.0000000000001116