研究課題/領域番号 |
19H03780
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉富 啓之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50402920)
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研究分担者 |
戸口田 淳也 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40273502)
伊藤 宣 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (70397537)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Tph細胞 / Sox4 / PD-1 / 関節リウマチ / 転写因子 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトCD4陽性T細胞が関節リウマチの炎症環境下でどの様な分画がどの様に機能を発揮するのか、またその機能はSox4、Maf、TOX、Blimp1を含めたどの様な転写因子の制御によるのかを詳細に解明することを目的とし行う。令和2年度は関節リウマチ患者由来のCD4陽性T細胞を単一細胞レベルでのscRNA-seqデータに対し教師なしクラスタリングを行った所、CXCL13を産生するPD-1陽性のTph細胞が患者検体におけるCD4陽性T細胞の主だった分画の1つとして抽出された。また既報通り炎症罹患組織にはFoxP3を発現する制御性T細胞が多数存在することも示された。さらに、scRNA-seqにおける患者Tph分画での転写因子の発現を観察した所Sox4以外にもTph細胞分画内で発現が変化する転写因子群を認めた。興味深いことに、CXCL13を産生するPD-1陽性のTph細胞は教師なしクラスタリングにより複数の亜分画に細分化されていた。今後はこれらの転写因子とこれまでTph細胞での関与が知られているSox4、Maf、TOX、Blimp1との関連やその機能をエピゲノム制御も含めて明らかにすることを目指し研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体量が限られる臨床検体にscRNA-seqを遂行することにより、in vitroの系ではなく、疾患状態にあるヒトCD4陽性T細胞分画において変化する転写因子群を同定できた。今後、これまでに確立しているエピゲノム解析技術と合わせてSox4、Maf、TOX、Blimp1等の転写因子との関連を解明する。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、これまで得られてきたscRNA-seqの知見とエピゲノム解析の技術を組み合わせた関節リウマチ病態解明を行う。そのために、患者検体リンパ球のフローサイトメトリーによる表現型解析やウイルスベクターを用いた強制発現系や抑制系を用いた分子機能解析することで、関節リウマチ病態におけるCD4陽性T細胞リンパ球の役割と、その病態機構における転写因子ネットワークの関与を解明する。
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