研究課題
筋再生とエピゲノム制御因子との関連を解析するため、Cardiotoxin (CTX)による筋損傷後経時的に採取したマウス骨格筋組織におけるDNAメチル化関連因子群の遺伝子発現変動を解析した。その結果、DNA維持メチル化を担うUhrf1 (Ubiquitin-Like PHD And RING Finger Domain 1)の発現が筋損傷後早期に顕著に増加していることを見出した。そこで、筋分化におけるUhrf1の機能を解析するため、まずマウス筋芽細胞株であるC2C12に対し、CRISPR/Cas9によりUhrf1のKO株を樹立した。この細胞を分化誘導したところ、筋管形成は著明に抑制され、筋関連遺伝子は著明な発現低下を認めた。また、間葉系幹細胞からの脂肪細胞分化に必須の転写因子であるPparγおよびCebpαの発現上昇を認めたことから、Uhrf1は筋芽細胞としての特徴の維持に必須の因子であると考えられた。次に、骨格筋再生の中心的役割を担う筋衛星細胞特異的にCreを発現する(Pax7-CreERT2)マウスとUhrf1 floxマウスを交配し、タモキシフェン誘導性筋衛星細胞特異的Uhrf1KO (scKO)マウスを作出、解析した。非損傷時ではcKOマウス前脛骨筋に表現型異常は認めなかったため、CTXによる筋損傷後の筋再生能を評価した。その結果、筋重量回復は有意に低下し、組織学的解析では顕著な筋線維断面積の低下を認めた。また、長趾伸筋の単一筋線維の浮遊培養による筋線維上の筋衛星細胞の増殖、分化を経時的に確認したところ、scKOマウスにおいて筋衛星細胞の増殖および分化が抑制された。これらの結果から、Uhrf1は骨格筋再生、筋分化及び骨格筋線維の成熟に関与していることが示唆された。今後は、初代培養筋衛星細胞を用いた機能解析および、トランスクリプトーム解析やメチル化DNA解析などの統合的ゲノムワイド解析を行い、より詳細な分子メカニズムの解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
細胞種特異的遺伝子欠損マウスの表現型解析および遺伝子発現解析が順調に進んでいるため。
現在の実験計画のみでなく、骨格筋幹細胞のみならず他の細胞種やDNA維持メチルに関わるDnmt1遺伝子欠損についても広く展開していく予定である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
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