研究課題
我々は、思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis: AIS )の遺伝的背景を明らかにするために全ゲノム関連解析(genome-wide associationstudy:GWAS )を用いてAISの遺伝子研究を行ってきた。近年、遺伝統計学の手法の発展により、GWASデータを用いたPolygenic risk score(PRS)という遺伝情報から疾患を予測する手法が報告された。今回、PRSを用いてAIS疾患感受性PRSの作製を試みた。AIS疾患感受性PRSの導出、検証、確認を行った。さらにBMIの値をモデルに説明変数として組み込みAUROCは0.71となった。続いて、我々はAISの重症化の予測モデルの作成をした。まず、GWASに使用した3つのコホートのコブ角測定の再現性を級内相関係数で評価し、3コホートともに高い相関示すことを確認した。また、コブ角のGWASとAISのGWAS間に中等度のgenetic correlationを認め、AIS-PRSとコブ角の実測値の間にも有意な相関を認めた。そして、重症化のPRSを作成した。重症化のPRSのAUROCは、0.69であり、妥当な結果を示した。一方で、AIS-PRS同様にBMIをモデルの説明変数に加えても、AUROCの改善は認めなかった。このことから、BMIは主にAISの発症に関与している可能性が示唆された(Journal of Bone and Mineral Research 2021)。さらにMendelian randomizationを用いて、日本および米国のAISコホートを使い、AISとBMIの因果関係を検討した。日本人ではinverse-variance weighted法とEgger regression法で全てのBMI とAISに、統計的に有意な負の因果関係を示した。一方、米国では全ての解析で有意差は得られなかったが、全ての解析で同様の傾向を示した(投稿中)。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
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