研究課題/領域番号 |
19H03794
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
植村 天受 近畿大学, 医学部, 教授 (90213397)
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研究分担者 |
デベラスコ マルコ 近畿大学, 医学部, 助教 (20449838)
原田 守 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50260716)
南 高文 近畿大学, 医学部, 講師 (70340809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / ペプチドワクチン / 複合免疫療法 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに泌尿器癌に対して、MHCクラスⅠ拘束性ペプチドワクチン療法の臨床研究を行い、その安全性・有用性について報告してきた。2013年度より、腎癌に対するマルチペプチドワクチンの開発に着手し、5分子に対するマルチペプチドワクチンを開発し、一部は特許申請を行った(特願2014-007671、特願2014-189312、特願2016-209180)。ワクチンによる癌免疫療法を行うにあたり、ワクチン単独療法では宿主体内に抗腫瘍免疫は惹起できるものの臨床効果を引き出すのに限界があることも認識されている。近年、種々の固形癌に対し免疫チェックポイント阻害薬(IO-drug)の有効性が大きく示され、腎癌においてはIO-drug /CTLA-4抗体併用療法やTKI/IO-drug併用療法の複合免疫療法の有用性が示され、進行腎癌治療の主流となることが推察される。本研究の目的は、ペプチドワクチンと制御性T細胞除去を目的とした抗CCR4抗体や各IO-drugとの併用による抗腫瘍免疫増強効果について、実際の臨床検体(免疫担当細胞)を用いて検討することで、新規免疫療法を受けている患者のPBMCを用いる。目的を達成するためには、できるだけ多くの血液サンプルが必要であるが、COVID-19パンデミックの影響を受け十分なサンプル収集ができていない。最終的には腎癌担癌患者でIO-drug非投与患者10例、投与患者20例の計30例のサンプルが最低でも必要で、同一患者におけるIO-drug投与前・後のサンプルを最重要サンプルとし、使用するまで凍結保存している。また、モガムリズマブ臨床試験において、有効性が示されなかったことから、血液サンプルの採取が困難であり、モガムリズマブによる免疫賦活効果の研究を打ち切り、IO治療によるワクチン効果増強についてのみ検討してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IO-drug(抗PD-1、抗PDL-1抗体や抗CTLA4抗体)との併用による併用免疫療法の有用性(抗腫瘍免疫増強効果)について、腎癌担癌患者の血液サンプルが必須であることから、現在もなお血液サンプルの収集を行っており、IO-drug非投与患者10例、投与患者20例の計30を予定しているが、現在、約20例の患者からサンプル収集ができている。同一患者におけるIO-drug投与前・後のサンプルを最重要サンプルとし、全サンプル、研究に使用するまで凍結保存している。また、転移巣切除や原発巣切除に伴う腫瘍浸潤免疫細胞についても機会があればサンプリングをする。なお、CCR4抗体(モガリツマブ)に関しては、上記(実績概要参照)の如く打ち切った。
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今後の研究の推進方策 |
RCC担癌患者からのサンプル収集を続け、目標の30症例を達成する。また、収集したPBMCとペプチドを用いた抗腫瘍効果をCTLアッセイとして、C1R細胞を用いたinterferon-gamma releaseアッセイで抗PD-1抗体のin vitroでの効果について検討する。その結果を踏まえて、実際に免疫チェックポイント阻害薬を用いて治療を受けた患者のPBMCや腫瘍検体を用いた研究を行う。具体的には、手術腫瘍検体に浸潤している腫瘍浸潤免疫担当細胞のプロファイル(細胞性免疫応答解析および液性免疫応答解析)や免疫関連分子の発現状況をBC foetessaやMSDを用いて検討する。
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