研究実績の概要 |
本研究では、卵巣がんの新たな治療標的の探索を目指し、卵巣がん微小環境における細胞間相互作用に着目し、新たな疾患メカニズムを提唱する。本年度も昨年度に引き続き多角的に難治性卵巣がんの悪性化機構の解明を行った。目立った成果としては、卵巣がんの悪性化に関わる代謝異常をメタボローム解析によって明らかにしたこと(Yoshida K, Yoshikawa N, Yokoi A, Kajiyama H et.al. Cancer Cell International. 2021 Jun 16)、卵巣がん患者体液中マイクロRNAプロファイルにより、患者のその後の予後が予測できるという知見を明らかにしたこと、(Yoshida K, Yokoi A,Kajiyama H, Yamamoto Y.et.al. Cancer Science. 2021 Dec)、患者組織中のプラチナ元素を、分子イメージング機器を用いて検出・評価することで、化学療法奏功性を予測することを可能にする知見を得たこと(Uno K, Yoshikawa N, Yokoi A, Kikkawa F.et.al. Scientific Reports. 2022 Mar 16)、また、卵巣がん腹膜環境において、ビタミンDががん関連中皮細胞に作用し、治療的効果を有すること(Kitami K, Yoshihara M, Yokoi A, Yoshikawa N, Kajiyama H. et. al. Matrix Biology 2022 May)が挙げられる。どの成果も、これまで全くわかっていなかった最新の知見である。中皮細胞を介した機能は現在も検討中であり多角的にかつ同時進行で解析を行っている。本研究助成は最終年度なるが、今後も継続して卵巣癌微小環境における機能を明らかにし、迅速に診断・治療等の臨床応用へと展開させる。
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