研究課題
子宮頸部細胞診異常の症例に対しては、コルポスコープで観察した画像を医師が診断する。しかし、コルポスコープは大きく高価であり、汎用性が低いと言わざるを得ない。また、医師の診断においても一定の修練が必要である。当研究では、コルポスコープ画像の自動診断装置を開発し、さらに将来的にはスマートフォン撮影画像の自動診断につなげることを目的とした。過去のコルポスコープ画像を用いてAI診断システムの開発と精度検証を行うこととした。病理診断に基づき、正常:120症例、CIN1:120症例、CIN2-3:113症例、浸潤癌:110症例をトレーニングとテストに3:1で割り付けて評価を行った。この4つのカテゴリーでは正診率は43.5%、CIN1以下とCIN2以上の2つのカテゴリーでは正診率は72.4%であった。当年度、このデータを整理し、論文として発表した。さらに、正常・CIN1・CIN2-3・浸潤癌の病理診断のついた各20症例ずつを対象とし、最初に医師が通常のコルポスコープで診断をし、ついで、これら病変に対するAI診断の結果を見た上で医師が最終総合診断を下し、その正診率を比較した。正常とCIN1では、医師の最初のコルポスコープでの診断に比してAI診断を参考にした総合診断による精度の上昇は認められなかったが、浸潤癌においては、総合診断することで有意な正診率の向上を図ることができ(p<0.01)、CIN2-3においても正診率は上昇傾向であった(p=0.16)。これについても論文として発表した。今後はスマートフォン撮影画像の診断精度を検証する予定である。ここまで到達すれば、カンボジアで始まった子宮頸がん検診プロジェクトにスマートスコープを導入することが視野に入ってくる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular and Clinical Oncology
巻: 16 ページ: 27
10.3892/mco.2021.2460