研究課題/領域番号 |
19H03801
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
河村 和弘 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (10344756)
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研究分担者 |
佐藤 可野 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (00511073)
川越 雄太 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (10609077)
河村 七美 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (70323152)
山海 直 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 再雇用職員 (80300937)
岡本 直樹 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (80714360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 早発閉経 / 卵巣機能不全 / 卵胞活性化 / 低侵襲 / Hippoシグナル |
研究実績の概要 |
早発閉経や高齢による卵巣機能不全患者では、卵胞が発育せず自らの卵子を用いた妊娠は非常に困難である。我々は、PI3Kシグナル活性化とHippoシグナル抑制による卵胞活性化療法(IVA: In Vitro Activation)を開発し、摘出した卵巣を卵胞活性化培養(48時間)した後に自家移植することで、早発閉経患者の妊娠・出産に成功した。本研究は、現行のIVAよりも低侵襲な治療法の開発を行い、卵巣自家移植後の卵胞発育誘導に最適な卵巣刺激方法の創出によりIVAの臨床成績を向上させ、より多くの卵巣機能不全患者が、自己の卵子で妊娠可能な治療法の確立を目指す。 本年度は、卵胞活性化培養の短時間化による単回手術のIVAの開発のうち、原始卵胞を短時間で活性化可能な卵巣組織培養法の開発を行った。原始卵胞のFOXO3の核外移行を免疫組織学的に調べ、その核外移行率を指標に有効性を評価したところ、 30分間で卵巣組織培養にて原始卵胞の活性化を誘導可能な活性化剤を同定し、その至適培養条件を決定した。また、卵巣培養が不要な卵巣への物理的刺激による単回手術IVAの臨床試験の患者登録を開始した。さらに、卵胞発育誘導に最適なHippoシグナル抑制剤の探索を行い、候補分子を同定した。高LH血症が卵胞発育と卵子の質に及ぼす影響の評価も行い、下垂体摘出マウスに種々の濃度の FSH, LHを投与して検討したところ、高 FSHではなく、高LH血症が卵胞発育を早期黄体化により抑制し、さらに卵子の質を低下させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、以下の研究項目を計画している。①卵胞活性化培養の短時間化による単回手術のIVAの開発、②卵巣の卵胞活性化培養が不要な卵巣への物理的刺激による単回手術のIVAの臨床試験、③Hippoシグナル抑制剤の経腟的卵巣注射による低侵襲な治療法の開発、④高LH血症の是正を基盤とする卵巣刺激法によるIVA臨床成績の向上 これらの研究項目のうち、本年度は原始卵胞を短時間で活性化可能な卵巣組織培養法の開発、卵巣培養が不要な卵巣への物理的刺激による単回手術IVAの臨床試験の開始、卵胞発育誘導に最適なHippoシグナル抑制剤の探索、高LH血症が卵胞発育と卵子の質に及ぼす影響の評価の動物試験を予定していたが、全てのマイルストーンはおおむね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度得られた研究成果をもとに、引き続き予定している①卵胞活性化培養の短時間化による単回手術のIVAの開発、②卵巣の卵胞活性化培養が不要な卵巣への物理的刺激による単回手術のIVAの臨床試験、③Hippoシグナル抑制剤の経腟的卵巣注射による低侵襲な治療法の開発、④高LH血症の是正を基盤とする卵巣刺激法によるIVA臨床成績の向上、の各研究を進めていく。
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