研究課題
声帯が硬化し重度の音声障害をきたす声帯瘢痕、溝症には確立した治療法がなく、革新的治療法の開発が急務である。我々は再生医療を駆使した先端的治療法開発のための研究を推進するために、重症度別声帯瘢痕動物モデルの確立、病態に応じた声帯再生医療の指針の作成、軽度声帯瘢痕に対する治療戦略の構築、重度声帯瘢痕に対する治療戦略の構築、プラズマリッチ血小板(PRP)の声帯再生効果の検証、声帯粘膜の羊膜による全置換再生についての基礎実験を、臨床応用を目指して行うことを目的とした。4年間の研究の結果、ラットを用いた重症度別声帯瘢痕モデルを確立し、病態に応じた声帯再生医療指針の作成に向けて実験を行った。軽度声帯瘢痕に対しては細胞増殖因子単体、もしくは幹細胞移植で十分な効果が得られることがわかっているが、重症声帯瘢痕を克服するために、細胞増殖因子のコンビネーション(線維芽細胞増殖因子(bFGF)と肝細胞増殖因子(HGF))、細胞増殖因子と脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)のハイブリッド、PRP、羊膜移植についてin vitro、in vivoでの動物実験を行った。細胞増殖因子のコンビネーションおよびASCとのハイブリッド治療については、単体に対する上乗せ効果はin vitro, in vivoともに確認できておらず、現在さらなる検討中である。重症声帯瘢痕に対するPRP注入は、組織学的に再生効果が確認された。しかし、PRPを構成する細胞増殖因子の割合はロットによって不均一であり、これが効果に影響する可能性があることを留意する必要がある。羊膜は、瘢痕声帯粘膜をすべて除去したのち羊膜で全置換したところ、良好な生着と再生効果が確認された。重症声帯瘢痕に対して少なくともPRP、羊膜の有効性が確認され、新たな革新的治療となることが期待される。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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喉頭
巻: 34 ページ: 144-150.
Laryngoscope.
巻: 132 ページ: 2017-2025
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Laryngoscope
巻: - ページ: -
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