研究課題
新たに、照射する光波長によりイオンチャネルの開閉を制御できるタンパク質(neo-mVChR1)を開発した(SFO:ステップ関数型チャネルロドプシン)。これにより、波長光を変えることで神経節細胞の興奮を自在に制御することが可能となる。本研究では、3個の性質の異なるSFOを遺伝盲ラットの神経節細胞に導入し、視覚誘発電位を測定し、視覚特性の差異を明らかにする。初年度は、neo-mVChR1をこれまでと同様に、CAGプロモーターを持つアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに組み込み、硝子体内投与により神経節細胞に遺伝子導入を行った。その結果、単色に光刺激において、mVChR1に比べ視覚誘発電位は小さかった。その理由として、neo-mVChR1はSFO型であるために、一度の光照射で陽イオンチャネルが開状態が持続するためと考えられたため、チャネルを閉じる条件である紫光を単色刺激の後に照射する条件で、視覚誘発電位を測定した。しかし、視覚誘発電位の増加は認められなかった。一方、新規に開発したこのSFO型に加え、新たに青色照射でクロライドイオンを透過させるアニオンチャネルロドプシンを新たに開発した。このように、4種の特性の異なるチャネルロドプシンを保有しており、これらを特定の網膜の神経細胞に導入するために特徴的なプロモーターおよび血清型の異なるAAVベクターを作製し、その導入効率を検討している。今後は、これらの特性の異なるチャネルロドプシン遺伝子を複合的に遺伝子導入し、視覚特性を評価する予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
新たなオプトジェネティクス遺伝子を2種類さらに開発し特許申請を行った。また、網膜の特定の細胞に遺伝子を発現させるため、各種プロモーターを組み込んだアデノ随伴ウイルスベクターを作製した。すでにいくつかのAAVベクターに関しては動物モデルで遺伝子発現部位を確認している。また、ne-mVChR1の遺伝子導入により網膜変性を保護できる可能性が示され、新たな治療技術として、検討している。
neo-mVChR1を恒常的に発現するトランスジェニックラットを作製し、視覚特性ならびに網膜変性保護効果を検証する。また、初年度の研究において、neo-mVChR1の遺伝子導入により網膜変性を保護できる可能性が示され、本研究の遂行とともに研究テーマを追加した。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (3件) 産業財産権 (2件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 524 ページ: 542~548
10.1016/j.bbrc.2020.01.127
Front Genet
巻: 10 ページ: 587
10.3389/fgene.2019.00587
Int J Ophthalmol
巻: 12 ページ: 1231-1237
10.18240/ijo.2019.08.01
J Lipid Res
巻: 60 ページ: 30-43
10.1194/jlr.M082198
Biomed Res Int
巻: 2019 ページ: 3238719
10.1155/2019/3238719
http://web.cc.iwate-u.ac.jp/~htomita/vis-neurosci/
https://www.crieto.hosp.tohoku.ac.jp/seedlist/seed23.html
https://www.jig-saw.com/news/20161226/