研究課題
当研究室で開発した多波長に感受性を有しステップ関数型チャネルロドプシンの特性を併せ持つ遺伝子「switCh」は、その特性から失明に至った網膜に導入することによって、チャネルロドプシン遺伝子を利用した視覚再生技術のデメリットである光感受性を増大できると考えられた。しかしながら、これまでの研究で、光感受性の増大はみられずむしろ減弱する傾向にあった。この結果から、当研究室では、以前開発したmVChR1およびswitCh遺伝子の構造をもとに新たにComV1遺伝子の開発に成功した(PCT出願済み)。本年度は、このComV1遺伝子の導入によって得られる視覚特性を遺伝盲ラット用いて検証した。遺伝的に失明に至るRCSラットの硝子体内にComV1遺伝子を含むアデノ随伴ウイルスベクター溶液を注射することによって遺伝子導入を行った。遺伝子導入2ヶ月後には明瞭な視覚誘発電位が記録され、極低照度の光刺激条件下においても、青、緑、赤の全ての波長で反応が見られた。また、オプトモータ―を用いた視覚行動解析においてもほとんどのラットで空間周波数0.42cycles/degreeに反応を示し、この空間周波数は正常な視覚を持つラットより若干低いものの、高度な視覚が再構成されていることが確認された。この回復された視機能は観察期間(遺伝子導入後17ヵ月)、減弱することなく維持されていることが確認された。一方、switCh遺伝子は視覚再生において有用性は認められなかったものの、switCh遺伝子の特性を利用した網膜変性保護および脳機能保護への可能性が見出されたため、神経保護に関する遺伝子治療研究を新たに開始した。以上のように、本研究で利用した、あるいは新たに開発された遺伝子は、多方面での利用が、今後期待される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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