研究課題/領域番号 |
19H03808
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大野 京子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30262174)
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研究分担者 |
鴨居 功樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40451942)
田中 敏博 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50292850)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 病的近視 / 後部ぶどう腫 / 光干渉断層計 |
研究実績の概要 |
病的近視の原因遺伝子の解析を進めるために、まず超広角光干渉断層計を使用して後部ぶどう腫を持つ病的近視の重要な特徴を客観的に検出した。我々が見出したぶどう腫縁のOCT上の特徴のうち、成人以降では3つの特徴をすべて併せ持っていたが、小児期には強膜の突出がなく、脈絡膜の厚みの変動のみを認める症例が多かった。その結果、約300例の症例を特定した。これらの症例から同意を得てDNAを採取し、遺伝子解析を行う段階まで進展していた。さらに遺伝歴が濃厚な家族症例に対しては家系調査を施行し、家系内の罹患者および健常者の採血も同意を得て進めることができた。超広角OCTを用いて小児の強度近視にも検査を行い、中高年ではなく小児期の早い段階で後部ぶどう腫が生じていることが判明した。この結果により、将来的に病的近視による失明のリスクがある小児を早期に同定できるようになり、後部ぶどう腫や失明予防の治療において重要な情報となった。さらに、本学の先端近視センターにおいて、5年以上の長期経過がある約1000例の視力、視野などのデータおよび、眼底写真やOCTなどのデータを収集し、ビッグデータを活用して初診時のデータから5年後の視力予後を推測するアルゴリズムの確立に向けて進めた。 これらの成果により、病的近視の原因遺伝子の解析や小児期の早期検査によって、将来的な失明リスクのある患者の同定と、後部ぶどう腫や失明予防の治療における重要な情報の提供が可能となると考えられる。また、初診時のデータからの視力予後推測アルゴリズムの確立により、患者の長期的な視力管理にも貢献すると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナにより臨床データの収集、遺伝子解析のための血液収集などが遅延していたが、その後患者さんに個別に連絡するなどして予定通りの計画遂行になるべく努力した結果、おおむね順調に進むことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、病的近視の原因遺伝子の特定や遺伝的要因の解明に取り組み、より効果的な治療法の開発や予防プログラムの構築を目指します。また、早期検査の普及や予後推測アルゴリズムの精度向上にも注力し、病的近視による失明の予防と患者の視力の維持・改善に向けた貢献を続けます。さらには病的近視の予後不良と推察される症例に対し、眼球の変形を予防、是正する治療の確立により組みます。
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