病的近視の原因遺伝子を解析するためには、まず超広角光干渉断層計を使って後部ぶどう腫を持つ病的近視の最も重要な特徴を客観的に検出した。その結果、約300例の症例が見つかった。これらの症例からDNAを採取し、遺伝子解析を行う予定である。また、超広角OCTを使って小児の強度近視も検査し、中高年ではなく小児期に後部ぶどう腫が生じていることがわかった。この結果により、すでに小児期に将来病的近視による失明のリスクがある子供を同定でき、後部ぶどう腫や失明予防の治療において重要な情報となる。さらに、本学先端近視センターのビッグデータを使って、初診時のデータから5年後の視力予後を推測するアルゴリズムを確立した。その結果、初診時の視力、黄斑部新生血管、眼軸長などが有意に5年後の視力予後に創刊していることがわかった。 これらの成果により、病的近視の原因遺伝子の解析や小児期の早期検査によって、将来的な失明リスクのある患者の同定と、後部ぶどう腫や失明予防の治療における重要な情報の提供が可能となった。また、初診時のデータからの視力予後推測アルゴリズムの確立により、患者の長期的な視力管理にも貢献した。 今後は、より効果的な治療法の開発や、予防プログラムの構築に向けて、病的近視の原因遺伝子の特定や遺伝的要因の解明に取り組んでいく予定である。さらに、早期検査の普及や予後推測アルゴリズムの精度向上にも努め、病的近視による失明の予防と患者の視力の維持・改善に寄与していく。
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