研究実績の概要 |
今年度は、フェノーム解析として、眼合併症を伴うSJS/TENの眼病変を重症と軽症に分類して、さらに、5年間の経過で進行している割合を解析した。方法としては、1998年から2011年までに京都府立医科大学附属病院を受診したSJS患者186例(372眼)のうち、5年以上経過観察でき、かつSJS発症から観察終了までに眼表面への手術介入がない症例66例(105眼)を対象とした。定期的に撮影された前眼部写真をもとに、評価開始時と 5年後とで所見を比較した。評価は ①臨床的結膜侵入 ②血管新生 ③角膜混濁 ④角化 ⑤瞼球癒着 ⑥上方結膜嚢短縮 ⑦下方結膜嚢短縮の7項目を各項目Grade0-3を0-3点(総得点21点)として検討した。5年後の時点で、33.3%の症例において眼表面所見の悪化が認めらえた。さらに、プロテオーム解析として、涙液中サイトカインを解析し、軽症例(総得点0-10点)と重症例(総得点11-21点)と健常者と比較してみた。解析したサイトカイン15種(IL-6, IL-8, IL-1α, IL-13, IFN-g, MCP-1, total IgE, CD178, eotaxin, FGF, GranzymeB, IP-10, RANTES, MIP-1β,TNF-a)のうち、軽症例と重症例で有意な差が認められたのは、IL-8とGranzymeBであった。その他、IL-6, IL-1α, IL-13, IFN-g, total IgE, CD178, eotaxin, FGF, GranzymeB, RANTES, MIP-1β,TNF-aにおいても軽症例と比較して重症例で高い傾向があったが有意な差は認めなかった。さらに、 上記7項目の有無と各種サイトカインとの関連を調べたところ、IL-8は、 ①臨床的結膜侵入 ②血管新生 ③角膜混濁がある症例で有意に高く、GranzymeBは④角化がある症例で有意に高いことが明らかとなった。
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