研究実績の概要 |
当教室で確立しているマウス胎仔にエレクトロポレーションでsiRNA試薬を効率的に皮膚に導入し、遺伝子ノックダウンを行ったうえで組織培養を行う技術を用いて、E13-E15のICRマウス胎仔皮膚にエレクトロポレーションで、Rac,Rho,CK17などをそれぞれの時期にノックダウンを行い、組織培養下での形態の変化を観察した。E13の創傷部の表皮が、actin cableによる巾着縫合のように収縮することで、皮膚の完全再生が認められるが、E15以降は表皮細胞の分裂と遊走により、表皮の位置値の変化、ないし間葉系細胞との相互作用の変化により皮膚が再生することなく傷跡として認められた。表皮角化細胞で特異的に発現しているCK14依存的に、タモキシフェン依存性にCreを発現するSTOCK Tg(KRT14-cre/ERT)20Efu/Jと、細胞の遊走を起こさせる葉状仮足を形成する中心的なタンパクであるRacをfloxでcre存在下に発現をノックアウトできるSTOCK Rac1tm1Djk/J、と掛け合わせ、E13-E15で胎仔および成獣で創傷治癒の変化の観察を行った。この際、創傷作成4日前からタモキシフェンを投与し、その後に創傷を作成した。その結果、また、胎生15日の創傷部でactin cableの表皮での形成が確認された。また、キーエンス社の高解像度の表面観察用顕微鏡を用いて、表面の構造を観察し、3次元的な、肌理の形態がどのように変化しているかを観察した。さらに、創傷作成後、様々な時間後にサンプルを採取し、E13ではactin cable の形成、E15および成獣では表皮細胞の遊走阻害が認められた。
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