研究課題
基盤研究(B)
小胞体ストレスは炎症応答を単独で誘導するのではなく、炎症応答時にその応答を増強する効果があることがわかった。この炎症応答の増強の結果、小胞体ストレスは炎症性サイトカインIL-6などの発現を促進する。また本研究の結果から、小胞体ストレス関連疾患における慢性炎症は、小胞体ストレスによる炎症応答の増強が関わっていることが推察され、炎症の慢性化機構に関しても小胞体ストレスが関与している可能性を見出した。
分子細胞生物学
小胞体ストレスと慢性炎症の相互作用機序とその役割の解明は、関連する疾患の発症機構および生体制御の理解につながり、新しい細胞応答の概念構築に結びつくと考えられる。特に不明な点が多い炎症の慢性化メカニズムにも小胞体ストレスによる炎症増強効果が関与する可能性が示唆される。さらに、この作用機序を阻害することで、小胞体ストレスおよび慢性炎症関連疾患に対する新規治療戦略に応用できる可能性がある。